豊田章男氏の「クルマを文化に」構想が始動! JMSで「モリゾウ」がモータースポーツを語る
2025年6月に日本自動車会議所の新会長に就任した豊田章男氏が、「クルマをニッポンの文化に!」というスローガンを掲げました。自動車産業の枠を超え、人々の心を動かすことを目指す豊田会長。その具体的な一手として、2025年10月末から開催される「ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)」で「モータースポーツ委員会」の特別イベントが開催されます。モリゾウ氏として登壇し、何を語るのでしょうか。
●豊田章男氏、自動車会議所新会長に。「クルマをニッポンの文化に!」と宣言
「クルマをニッポンの文化に!」を掲げ、日本自動車会議所の新会長に就任した豊田章男氏。
人々の心を動かすことを目指す豊田氏の構想が、「ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)」で始動します。
今回、「モータースポーツ委員会」の特別イベントに豊田氏はモリゾウ(クルマ好き、レース参戦時のドライバー名)として登壇し、その未来を語ります。

2025年6月10日、日本の自動車産業における広範な総合団体である日本自動車会議所は、豊田章男氏が新会長に就任したことを発表しました。
日本自動車会議所は、戦後の復興期である1946年(昭和21年)に設立された長い歴史を持つ組織です。その活動は78年にも及び、設立当初から自動車産業と社会の発展を目指してきました。
現在、日本の自動車産業は、全就業人口の約1割にあたる550万人の雇用を支え、製造業製造品出荷額の約2割(56兆円)を占めるなど、日本経済の中核を担っています。
この重要な団体の会員には、自動車や部品のメーカーといった「生産」分野だけでなく、ディーラーや整備事業者などの「販売・整備」分野、トラックやバス、タクシーなどの「運輸・交通」分野、さらにはリース、レンタカー、損害保険、石油、リサイクルといった多様な関連分野から162もの団体・企業が参加しています。
新会長に就任した豊田氏は、就任の挨拶で「クルマをニッポンの文化に!」という新たなスローガンを打ち出しました。
●目指すは「政府」より「人々の心」。AIの回答に見た「文化」への課題
豊田氏は就任時、自動車工業会(自工会)の会長時代との違いについても説明しました。自工会では「自動車産業が国から頼られる存在」を目指し、主に国や政府といった政策決定者への働きかけが中心だったと振り返ります。
それに対し、自動車会議所で動かしたいのは「人々の心」であると強調。「クルマが自慢したくなる文化になっていくためには、政府ではなく日本の皆様の心を動かさないといけない」と述べ、その方向性の違いを明確にしました。
この「文化」という言葉へのこだわりには理由があります。豊田氏は、設立当時の趣意書に「国民の生活維持と文化向上にクルマは不可欠」と記されていたことに触れ、「今、クルマは人流、物流に欠かせないものとしてお役に立てている。しかし文化としてお役に立てているだろうか?」と問いかけました。
豊田氏は、AIに「日本の自慢は何か」と尋ねたエピソードを紹介。AIの回答は「文化、伝統、観光、自然」が先に来て、自動車産業は「技術、産業」のカテゴリーでようやく登場したといいます。一方で、同様の質問をドイツについて行うと「経済と技術力、その代表選手がクルマ」という結果だったと対比させました。
「日本もドイツのように、クルマが我が国の文化だと一番に答える国であったら、我々はどんなに嬉しいだろう」と述べ、「あなたの国を自慢してくださいと聞かれた多くの日本人が『日本の自慢は何と言ってもクルマ』と答えるようにしていきたい」と、強い意気込みを示しました。
自動車会議所には、製造業中心の自工会とは異なり、販売、整備、運行、保険、エネルギーといったクルマに関わるほぼ全ての業界団体が集結し、2025年からはユーザー団体であるJAF(日本自動車連盟)も加わっています。
豊田氏の祖父にあたる豊田喜一郎氏らが「平和日本の再建」「世界文化への寄与」を掲げて設立したこの団体で、その想いを繋いでいく決意を新たにしました。

●スローガン実現へ一手。「モータースポーツ委員会」がJMSで始動
「100年に一度の大変革期」と呼ばれる現代において、クルマは単なる交通インフラではなく、地域での「生活の足」であり、災害時には「ライフライン」としての重要性も増しています。
豊田氏は、広範な関係者が集う自動車会議所の強みを活かし、「みんながクルマを日本の文化にするため色々なアクションを始められたら、日本の経済や国の力にもっとお役に立てるようになる」との期待を寄せています。
そして、その「クルマを文化に」というスローガンを実現するための具体的なアクションが、早くも始動しました。
その名も「モータースポーツ委員会」です。豊田新会長が掲げた合言葉のもと、モーターレースを主催・統括する各団体が集まり、新たな委員会として活動を開始しました。
この委員会の活動が、今月末から東京ビッグサイトで開催される「ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)」の場で、一般に公開されることが明らかになりました。
●「モリゾウ モータースポーツを語る」豪華登壇者と未来への課題を議論
JMS内で開催されるこのイベントは、「『モリゾウ モータースポーツを語る』 日本自動車会議所 モータースポーツ委員会 ~JMS 特別編~」と題されています。
開催日時は2025年11月1日(土)の午前10時30分から11時30分まで。場所は、東京ビッグサイトの東7ホール内に設置される特設ステージです。
このイベントでは、委員会が公開形式で開催されます。登壇者は、日本自動車会議所会長として、そして「モリゾウ」選手としてモータースポーツの最前線を知る豊田章男氏が中心となります。
さらに、日本のモータースポーツ界を牽引する重鎮たちが集結します。日本自動車連盟(JAF)の坂口正芳会長、GTアソシエイション(GTA)の坂東正明会長、日本レースプロモーション(JRP)の近藤真彦会長、スーパー耐久未来機構(STMO)の桑山晴美副理事長、日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)の鈴木哲夫会長といった、各レース団体のトップが一堂に会します。
司会はトヨタイムズスポーツの森田京之介氏が務め、日本自動車会議所の加地雅哉モータースポーツ委員長も登壇します。
イベントの狙いは、モータースポーツの尽きない魅力や、各団体が共通して抱える悩みについて率直に語り合い、その模様を公開することにあります。
これにより、従来のファンだけでなく、より幅広い層にモータースポーツへの興味を持ってもらい、業界全体を盛り上げていきたいという考えです。
豊田新会長が目指す「クルマをニッポンの文化に」という大きな目標に向け、まずはモータースポーツの現場から「人々の心」を動かす試みが始まります。
Writer: くるまのニュース編集部
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