車についてる「謎の“ちょうちょ”マーク」どんな意味? 知らない人も多数な「新しい標識」? 実は重要な“サイン”だった!
クルマに貼られた「みどり地に黄色いちょうちょ」のマークには、一体どのような意味が示されているのでしょうか。
全ドライバーが知らないといけない「とても重要な“標識”」です
クルマには、例えば「初心者マーク」のようにさまざまな“マーク”が貼られることがあります。
なかでも、「みどり地に黄色いちょうちょ」というマークは、いったいどのような意味を表しているのでしょうか。

例えば初心者マークは、普通免許を受けてから1年経過していない人が貼らなければならないもので、正式には「初心運転者標識」といいます。
ほかに良く見かけるものとして挙げられるのは、いわゆる「高齢者マーク」でしょう。こちらは「高齢運転者標識」といい、70歳以上が運転するときに、表示するように努めなくてはなりません。
このようにクルマに貼られるさまざまなマークは「標識」にあたります。周囲の交通に対し、運転者の特性を知らせる重要なものとなっているのです。
それでは、ときどき見かける「みどり地に黄色いちょうちょ」のマークは何を示すものなのでしょうか。
これは「聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)」といい、名称の通り聴覚障害者が運転していることを示すものです。
この“ちょうちょマーク”の標識は、必ず表示しなくてはならない「義務」となっています。
2008年(平成20年)6月1日の道路交通法改正で設けられたという比較的新しい標識で、初心者マークなどに比べると認知度はまだ低いかもしれません。
それまで聴覚障害を持つ人は、程度によってはクルマの運転ができませんでしたが、道路交通法改正によって、一定の条件の下で運転が可能になりました。
可能となる具体的な聴覚障害のレベルは、補聴器を用いても10メートルの距離で90デシベルの警音器(クラクション)の音が聞こえない程度です。
周囲の音が聞こえない代わりに、運転時はこのちょうちょマークの表示とともに、補聴器を必ず装着したり、ルームミラーを通常より視野の広いワイドミラーや補助ミラー(特定後写鏡)を装着することが必須となっており、免許の条件が追加されます。
なお2012年(平成24年)4月1日の道交法改正では、聴覚障害者が運転できるクルマの種類が拡大され、貨物車や原付、二輪車の運転も可能となっています。
聴覚障害者の移動手段が増えたのみならず、クルマを運転する仕事に就くことができるなど、この道路交通法改正によって聴覚障害者の生活に関わる大きな変革が実施されたといえるでしょう。
さて、ドライバーが走行中にちょうちょマークを見かけた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
聴覚障害者はクラクションだけでなく、踏切や緊急車両のサイレンなどが聞こえにくい、もしくは聞こえない場合があります。
全日本交通安全協会・警察庁のパンフレットによると、「警音器の音では危険を認知できないことがある」とし、必要に応じて減速したり、徐行することが必要といいます。
そのため、周囲の交通は配慮することが必要です。
また、ちょうちょマークを表示したクルマが合流や車線変更をしようとしているときは、積極的に譲ったり、いつも以上に車間を開けるなど、思いやりの気持ちを持つことが大切でしょう。
なお、ちょうちょマークをつけたクルマに対し、幅寄せや割り込みをした場合は、5万円以下の罰金、違反点数1点と普通車では6000円の反則金が科されることがあります。
※ ※ ※
警察庁が発表している2024年の運転免許統計によると、免許保有者約8174万人に対し、聴覚障害がある人(特定後写鏡等の使用が条件付けされている免許を持つ人)は1646人と、全体のわずか0.002%の割合です。
したがって、実際に街などでちょうちょマークをつけたクルマを見かける機会は、まだまだ少ないかもしれません。
とはいえ、聴覚障害者の移動を容易にするためにも、免許保有者全体への周知と浸透がさらに強く求められるところです。
Writer: くるまのニュース編集部
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