「パトカーの赤色灯がかっこいいと思って」軽自動車に赤色灯などを付ける不正改造! 大学生が書類送検 “警察風カスタマイズ”はどんな罪になる?
軽自動車に赤色灯を設置して走行した上、速度違反をしたとして、石川県内に住む男子大学生が書類送検されました。クルマやバイクを警察車両のように改造して検挙される事例がたびたび発生していますが、具体的にどのような点が違法になるのでしょうか。
クルマやバイクを「警察風」にカスタマイズして検挙される事例は過去にも発生
石川県警は2025年10月20日、軽自動車に赤色灯をつけて走行した上、速度違反をしたとして、石川県野々市市に住む20歳の大学生の男を道路運送車両法違反(不正改造)と道路交通法違反(速度超過)の疑いで書類送検しました。
同様の事案はたびたび起きていますが、どのような点が問題になるのでしょうか。

これは今年9月2日の午後3時20分頃、男が石川県小松市内の国道で軽自動車の屋根に設置した赤色灯を点灯させて緊急自動車のように走行した上、速度超過をしたものです。
その後9月8日に警察官が白山市内で同じクルマを発見し、運転手の男に任意同行を求めました。その際、男は赤色灯をつけてサイレンを鳴らし、信号無視をしながら逃走しましたが、この違反については交通反則切符(青切符)が交付されたということです。
不正改造された軽自動車は男の実家の会社が所有するクルマで、男が赤色灯やスピーカーなどの部品をインターネットで購入し、会社の敷地内において1人で改造していました。
警察の調べに対し男は「パトカーの赤色灯がかっこいいと思い、違法だと思いながらも改造した」と不正改造について容疑を認めた一方、速度超過については「覚えていない」と容疑を否認しています。
このニュースに対しインターネット上では「大学生なら本物の警官か消防士を目指せば良かったのに」「大学生でやって良いことと、そうではないことの区別が付かない。分かっていても、自分の欲望が勝ってしまうんだね」などの声が聞かれました。
さらに「先日も宮城県でバイクを警察仕様に改造して捕まった人がいたよね」「たまにクルマをパトカーっぽく改造している人を見かける」といった声も上がっています。
実はこれまでにも、クルマやバイクを警察車両のように改造して検挙される事例がたびたび発生しています。
今年10月3日には、バイクに赤色灯を設置する不正改造をした上、暴走族を取り締まる覆面バイク「黒バイ」隊員を装って事故現場の交通整理をおこなったなどとして、宮城県警が仙台市内に住む20歳の男を道路運送車両法違反(不正改造)と道路交通法違反(無免許運転)、軽犯罪法違反(称号詐称)の疑いで書類送検しています。
黒バイ隊と呼ばれる部隊は複数の都道府県警察に存在するものの、宮城県警では東日本大震災以降運用しておらず、住民から「不審なバイクが走っている」「県警に黒バイはいないのでは」などの通報が寄せられて発覚したとされています。。
さらに2024年2月には、福岡市天神の道路で覆面パトカーを装った改造車が信号無視をしてタクシーに衝突し、乗客ら4人が負傷する事故も発生しました。
この事案では一般車両に赤色灯とサイレンを取り付ける改造をおこなっており、運転手と同乗者が自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)で有罪判決を受けたほか、不正改造をした運転手は道路運送車両法違反でも有罪となっています。
このように、一般車両をパトカーや救急車など緊急自動車のように改造すると法令違反に当たることから、クルマのカスタマイズには注意が必要です。
道路運送車両法の規定では、緊急自動車以外の車両に赤色灯を装着して走行することが禁止されています。加えて、車両に「POLICE」や「〇〇警察」といったロゴを入れることも刑法第166条第2項に規定する偽造公記号使用という罪に当たるおそれがあります。
そして各都道府県の道路交通規則によっては、緊急自動車の赤色灯と見間違えるような紛らわしいライトを点灯したり、緊急自動車のようなサイレン音を発したりすることが禁止されているケースもあります。
※ ※ ※
意外にも、クルマをパトカーのように白黒にラッピングすること自体は禁止されていません。
ただし上記のように赤色灯を設置することや、警察と誤信させるようなロゴを入れることなどは禁止されており、その点に留意してカスタマイズをおこなう必要があるといえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。



















































