バイクすり抜け容認? 事故防止に設置された「二段停止線」が激減している理由とは

「二段停止線」全国都道府県の設置状況は? 東京都をはじめ設置ゼロも多数

 二段停止線の設置個所はどれくらい減っているのでしょうか? 警察庁広報課から入手した資料によると、平成28年度末現在で二段停止線の設置がゼロの都県がナント「22」もありました。東京都は平成23年度末に526箇所あった二段停止線が28年度末にはゼロとなっています。

キクテック公式サイト「色々な標識」より引用

 全国の都道府県を合計すると、平成23年度末には2456の交差点に5186箇所あった二段停止線は28年度末には1848交差点、3892箇所に激減しています。

★平成28年度末現在で、二段停止線ゼロ
青森、岩手、宮城、秋田、山形、東京、茨城、群馬、千葉、新潟、山梨、富山、岐阜、三重、奈良、島根、山口、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島、沖縄

★二段停止線が多い県ベスト10
1位 香川県 1077
2位 愛媛県 462
3位 大分県 272
4位 埼玉県 242
5位 熊本県 206
6位 京都府 171
7位 和歌山県156
8位 広島県 153
9位 石川県 149
10位 兵庫県 125

「二段停止線」設置数ダントツ1位の香川県も徐々に減らす傾向に

 香川県には1077箇所もの二段停止線があり、ダントツの1位となっています。四国全体が他の地域よりも多いのですが、香川県だけ突出しているのはどんな理由があるのでしょうか? 香川県警察本部交通規制課に聞いてみました。

「確かに香川県は多いですね。この二段停止線は二輪車が急増した時代に二輪車の事故防止を目的として設置されました。しかし、近年は二輪の混入率などを調査して、二輪が少ない地域から廃止しています。二輪車が少ないのに、二段停止線を設置していても意味がないので。また、『交差点のコンパクト化』という観点からも、二段停止線は少なくなっています。二段停止線があるとそれだけ交差点が大きくなり、右左折の際にスピードをあまり落とさずに曲がる車が増え、それが事故の原因となる場合もあります」といいます。

 確かに、ダントツ1位の香川県も平成23年度末には1198箇所あったものが、5年間で約120箇所を廃止しています。「交差点のコンパクト化」という観点も納得できる廃止理由の一つですね。

 ちなみに、日本国内の二輪車保有台数を調べてみると、ピーク時(1985年)の1818万409台から毎年少しずつ減っており、2017年3月末現在の台数は1095万5960台と722万台以上もの減少となっています。二輪車そのものが減っているので、二段停止線の必要性も薄れてきているということなのでしょう。

 さらに、二輪車のすり抜けによる事故や、交差点をコンパクトにして事故を減らす目的からも、二段停止線は今後ますます減っていくことになりそうです。

【了】

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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