バイクすり抜け容認? 事故防止に設置された「二段停止線」が激減している理由とは
二輪の停止線を四輪の停止線より前にすることで、バイクや自転車の存在を分かりやすくして大型トラックが左折する際などに二輪車が巻き込まれる事故を防止することが目的で設置された「二段停止線」。しかし、近年は二段停止線が激減しています。なぜなのでしょうか。
二輪と四輪を分けた二段停止線とは?
「二段停止線」とは指示標識の一つで、信号のある交差点に停止線を設置する際、二輪と四輪の停止線を数メートル離して設置してある停止線のことです。二輪の停止線を四輪の停止線より前にすることで、バイクや自転車の存在を分かりやすくして大型トラックが左折する際などに二輪車が巻き込まれる事故を防止することが目的です。
二輪と四輪の停止線の間隔は交通の状況に応じて、おおむね3~4m(状況によっては2~5mもあり)で、「二輪」及び「四輪」の文字の大きさは、原則として縦1m、横1mとされています。
二輪が車列の中にいる(四輪と四輪の間で停止)時は、四輪車の間をすり抜けて先頭の二輪車用二段停止線まで来る必要はなく、そのまま四輪車の後ろについて停止します。(逆に言えば、四輪車の間をすり抜けて先頭に出るのは通行区分違反、進路変更禁止違反、追越し禁止違反などの違反に問われる可能性があります)
実は、平成23年度からの5年間で二段停止線激減中
二段停止線の導入が始まったのは二輪車が急増した1980年代終わり(正式には1992年)頃とされています。二輪車の巻き込み事故を防止する有効な手段とされ、一時期は全国の多くの道路で二段停止線が見られました。
しかし、近年は二段停止線が激減しているようです。その理由を警察庁長官官房総務課広報室に伺ってみました。
「二段停止線は『道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部改正に関する命令』(平成4年総理府令・建設省令第1号)にて、大型自動車等が交差点を左折時に二輪車などを巻き込む形態での交通事故を防止する目的で導入されました。
各都道府県警察においては、交通環境などの変化等に応じて逐次交通規制等の見直しを行っているところですが、二段停止線に係る規制については二輪車による交差点で停止する四輪車の間の危険なすり抜けが認められる場合などに、見直しを行っているものと考えております」
要するに、二輪車を守るために設置された二段停止線でしたが、四輪よりも前に出られるという二輪車の優先意識が生まれ、四輪の間をすり抜けてでも無理に前に出ようとする二輪が増加し、結果、四輪との接触事故が増えたため、2010年ごろから廃止する傾向になっているようです。