「白タク」行為中に事故で女性が死亡 中国籍の男を逮捕! 各地で横行する白タク行為のリスクとは?

和歌山県警は、無許可でタクシー営業をおこなう「白タク」行為中に事故を起こし、乗車していた女性を死亡させたとして、運転をしていた中国籍の男を逮捕しました。警察によると、白タク行為を特定した死亡事故は全国で初めてということです。

「白タク」行為と特定した死亡事故は全国初! 今年6月には白タクによる重傷事故も発生

 和歌山県警は2025年10月20日、無許可でタクシー営業をおこなう「白タク」行為中に事故を起こし、クルマに乗車していた女性を死亡させたとして、大阪市西成区に住む中国籍の26歳の男を自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道路運送法違反(有償運送)の疑いで逮捕しました。

 各地で白タクに関する問題が浮上していますが、白タク行為を特定した死亡事故は全国で初とのことです。

「白タク」行為中に死亡事故で逮捕!(画像はイメージ、’90 Bantam/PIXTA)
「白タク」行為中に死亡事故で逮捕!(画像はイメージ、’90 Bantam/PIXTA)

 男は今年9月30日午前9時40分頃、和歌山市内で自分の所有するワンボックスカーに中国人観光客7人を乗せ、那智勝浦方面へ出発。その途中、新宮市内の国道168号でセンターラインを越えて大型トラックと正面衝突し、クルマに乗っていた中国籍の60歳の女性を死亡させた疑いが持たれています。

 なお、男はこの事故により右足首と大腿骨を折る重傷を負っていたことから、警察がこのたび退院を待って逮捕したということです。

 そもそも路線バスやタクシーのように、運賃を受け取って“有償”で客を運送する事業をおこなう場合、道路運送法に基づいて事業計画や運行計画などを定め、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。

 白タク行為は上記の国土交通大臣の許可を受けずにタクシー営業をおこなうことをいい、検挙されれば3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方を科されるれっきとした犯罪です。

 警察によると、白タク行為と特定した死亡事故は全国初の事例ということです。逮捕された男は警察の調べに対し、「報酬をもらう予定がなかったので白タクにはならないと思う」などと容疑を一部否認しています。

 しかし警察の捜査により、乗車料金が事前に決済されていたことが明らかになっており、警察は男が以前から白タク営業をおこなっていたとみて捜査を続けています。

 実はこのような白タク行為は、主に訪日観光客をターゲットに全国の観光地や空港などで横行している実態があります。

 たとえば今年8月には、熊本県八代市にあるくまモンポート八代(国際クルーズ船の受け入れ拠点)付近で「白バス」行為をしたとして、福岡県福岡市に住む自称バス運転手の中国籍の男が現行犯逮捕されました。

 これは逮捕された男が中国人観光客7人をバスに乗せているところを巡回中の警察官が発見したもので、男はSNSを通じて観光客と料金などのやりとりをしていたということです。

 白タク・白バス行為は地元のバスやタクシー事業者の仕事を奪うという問題点のほか、事故の危険性も指摘されています。客を乗せるバスやタクシーを運転する際には「第二種免許」が必須ですが、基本的に白タク行為をする者は第二種免許を取得しておらず、安全とは言いがたい運転をしているケースもあります。

 実際のところ、今年6月には富士山と河口湖をつなぐ有料道路・富士スバルラインにおいて、パキスタン国籍の男が運転する白タクがセンターラインをはみ出し、大型観光バスと正面衝突する事故も発生しています。この事故により、逮捕された男のほか白タクに乗車していたアメリカ人の男女5人が重傷を負いました。

 白タク行為に対しては取り締まりの強化が求められていますが、検挙するためには運転手と客との間で金銭のやりとりをしていたという証拠を押さえなければならず、検挙のハードルが高い現状もあります。

 具体的には、白タクの運転手が「友達・家族を迎えに来ただけ」「お金はもらっていない」と言い訳するケースや、海外アプリのオンライン決済で金銭のやりとりを隠ぺいするケースなどがあります。

※ ※ ※

 そのほか白タクは無保険である可能性も指摘され、事故が起きた際の補償をめぐるトラブルも懸念されています。

 今後は白タク行為を摘発しやすいような法改正や、行為者への罰則強化などが求められるといえるでしょう。

【画像】白タクはダメ! 二種免が必要! これが「最強免許」です(21枚)

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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