新車200万円切り! 世界初の「スライドドア“だけ”ワゴン」が凄かった! 全長3.7mボディに92cmの“巨大ドア”装備! MT風操作感も魅力なプジョー「1007」を振り返る
かつてプジョーには左右ドアをスライドドアのみとした変わり種ワゴン「1007」というモデルがありました。どのようなクルマだったのでしょうか。
世界初だった「左右電動スライドドアのみ」だったが…
“猫足”とも称される、ソフトながらしっかりと路面を捉える独特のサスペンションの味付けやWRC(FIA世界ラリー選手権)での活躍などで、古くからのファンを擁するプジョー。
近年では他メーカーとは一線を画すフランスらしい独創的なデザインでも人気を集めています。

そんなプジョーですが、車名に数字を用いていることでも知られ、現在は3桁の数字を用いる通常モデルのほか、4桁の数字を用いるクロスオーバーSUVモデルも存在していますが、その4桁の数字を初めて用いたのが、日本で2006年2月に導入された「1007」でした。
当時は4桁の数字は、従来のカテゴリにとらわれない新たなコンセプトのモデルに与えたとされており、1007も他のプジョーのモデルにはない個性を備えていました。
一見すると同時期にラインナップされていた5ドアコンパクト「206/207」や「307」と共通したツリ目型ヘッドライトが特徴的なフロントマスクなどは共通しています。
しかし全高が1600mmを超えるトールワゴンスタイルとなっており、なにより個性的だったのが、世界初となる左右大型電動スライドドアを備えた3ドア仕様となっていた点です。
この電動スライドドアはドアノブの操作の開閉はもちろん、車内に備わるスイッチやリモコンキーに備わるボタンでも開閉することができ、またオートクロージャーも備わるためスムーズかつしっかり閉まるようになっていました。
左右のドアは各1枚のみではありますが、ドア開口部は920mmとかなり広く取られており、ヒンジドアとは異なり開けたドアが邪魔になることもないため、後席へのアクセスなども良好な上、狭い場所でもスペースを気にする必要がないというのも嬉しいポイント。
ボディサイズは全長3730mm×全幅1710mm×全高1630mm、ホイールベース2315mmです。
搭載されるエンジンは1.4リッターと1.6リッターの直列4気筒ガソリンエンジンで、組み合わされるトランスミッションは「2トロニック・トランスミッション」と名付けられた2ペダルMTを設定。
このトランスミッションは5速MTをベースにクラッチ操作とシフト操作を自動で行うというもので、ややクセのあるものながら、上手く扱うことができればスポーティな走りを楽しむこともできるものとなっています。
このように非常に個性的な輸入車でありながら、1.4リッターモデルは200万円を切る199万円(税込み/1.6リッターモデルでも229万円)という低価格さも当時話題を集めました。
しかし、当時のプジョーにはやはりスポーティなハッチバックのイメージが強かったようで、日本のみならず本国でも人気はそこまで上がらず、日本でも2008年末で販売を終了してしまいます。
ただそれから時間を経た現在では、むしろその個性が再評価される向きもあり、中古車市場では状態の良いものはそれなりの価格が付けられるようになっていて、時代を先取りしすぎた1台と言えるのかもしれません。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。


































