「エンジンかけたまま」で駐車中のクルマを盗んだ男が逮捕! “エンジンかけっぱなし”のリスクとは? 交通違反に当たる可能性も
エンジンがかかった状態で路上に駐車されていたクルマを盗んだとして、大阪市此花区の男が再逮捕されました。クルマのエンジンをかけっぱなしにしていると盗難リスクのほか、交通違反に当たる可能性もあるため注意が必要です。
盗難のリスクだけでなく、クルマが勝手に動き出すおそれも!
兵庫県警は2025年9月6日の夕方、無免許でクルマを運転したうえ事故を起こしたとして、大阪市此花区に住む36歳の無職の男を自動車運転処罰法違反(無免許過失運転致傷)などの疑いで逮捕しました。
さらにその後、男が運転していたクルマが“盗難車”と判明したため、10月15日に窃盗の疑いでも再逮捕しています。
エンジンをかけたままクルマから離れた場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。

この事案では、36歳の男が9月6日の午後0時40分頃、兵庫県尼崎市内の路上において、エンジンがかかった状態で駐車されていた軽ワゴン車(尼崎市の運送業の男性が所有のもの)を盗んだ疑いが持たれています。
このニュースに対しインターネット上では、「確かに毎回毎回エンジンを切ってドアロックをかけるのはめんどうだわ、配達関係は特に」「コンビニの駐車場とかだと、エンジンをかけて施錠せずに買い物をしている人多いよね」などの声が寄せられました。
加えて、「盗難をした犯人が悪いのは大前提として、エンジンをかけっぱなし、鍵をさしっぱなしにするドライバーにも過失があると思う」といった意見も上がっています。
上記コメントにあるように、コンビニの駐車場に駐車しているクルマや、一時的に道路に停車しているクルマの中には、エンジンをかけたままドライバーが車両を離れているケースも少なくありません。
なお警察庁が2025年3月に公表した資料「自動車盗難等の発生状況等について」によると、2024年中、自動車盗難は6080件認知されています。
そのうちクルマの鍵がスイッチに差し込まれていたり、運転席やその周辺に鍵が放置されていたりして盗難被害に遭う「キーあり」の件数は1510件であり、被害全体の約25%を占めます。
鍵をさしっぱなし・エンジンをかけっぱなしのまま駐車していると、今回の事案のように車両が盗まれるおそれがあるため注意すべきといえるでしょう。
また意外と知られていませんが、クルマのエンジンをかけたままクルマを離れる行為は交通違反に当たる可能性があります。なぜならドライバーが守るべきルールについて、道路交通法第71条第5号および第5号の2で次のように規定しているためです。
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(第5号)
「車両等を離れるときは、その原動機を止め、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること」
(第5号の2)
「自動車または原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること」
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第5号では、クルマがクリープ現象や坂道駐車などによって動き出さないよう、エンジンを止めてシフトレバーを「パーキング」に入れるといった停止措置を講じることが定められています。
実際にパーキングブレーキのかけ忘れなどでクルマが動き出し、周囲の車両や人に衝突するという事例もたびたび発生しているため、クルマが確実に停止する措置をとることが大切です。
これを怠ると「停止措置義務違反」に該当し、検挙されれば違反点数1点、普通車で6000円の反則金が科される可能性があるほか、他の車両や人に衝突した場合には損害賠償責任を問われるおそれもあります。
そして第5号の2では、ドライバーが盗難防止に必要な措置をとらなければならないことが明確に決められています。
第5号の2に関しては違反しても点数や反則金はありませんが、法令上は「盗難防止措置」がドライバーの義務であることは知っておくべきといえるでしょう。
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短時間であっても、エンジンをかけたままクルマを離れると盗難や事故のリスクが高まります。
クルマを離れるときはエンジンを止め確実に施錠をするほか、車内に貴重品を置いたままにしないといった心がけが重要です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。


















