トヨタの「3列“7人乗り”ミニバン」がスゴい! カクカク「してない」“タマゴ型”ボディで超カッコいい! 復活も期待される「エスティマ」に注目

ミニバンの概念を革新したトヨタの「天才タマゴ」は、なぜ市場から姿を消し、今になって再評価されているのでしょうか。独自の存在感を放ち続けた「エスティマ」生産終了の背景と、復活の現実味に迫ります。

画一的な「箱型ミニバン」市場に対する有効なアンチテーゼ

 トヨタ「エスティマ」は、「先進的なスタイリングと乗用車ライクな走行性能をミニバンに融合させる」という唯一無二の価値を追求し続けた一台です。

 惜しまれつつ2019年秋に生産を終えましたが、復活の可能性はあるのでしょうか。

斬新「タマゴ」フォルムで大人気! トヨタ「エスティマ」は復活するのか!?
斬新「タマゴ」フォルムで大人気! トヨタ「エスティマ」は復活するのか!?

 初代エスティマは、1990年に「天才タマゴ」のキャッチコピーと共にデビューしました。

 エンジンを床下へ斜めに搭載する独自のアンダーフロア型ミッドシップレイアウトを特徴とし、当時のワンボックス型ワゴンとは一線を画す流麗なワンモーションフォルムは、未来的なデザインと空力性能を両立しており、非常に斬新な存在として注目を集めています。

 続いて2000年に登場した2代目は、一般的なフロントエンジン・横置きレイアウトとなりましたが、独自のタマゴ型フォルムは継承。2001年にはいち早くハイブリッドを追加するなど意欲的な取り組みも功を奏し、初代以上のヒット作となっています。

 そして2006年に3代目が登場。初代から受け継がれる流線形のフォルムは、さらに洗練されたものとなりました。

 真骨頂は、床下に完全格納できる3列目シートにあります。これによりフラットで広大な荷室が生まれたうえ、2列目シートが最大800mmスライドする「スーパーリラックスモード」も備え、後席の居住性はクラス随一でした。

 度重なるマイナーチェンジを重ねながら根強く支持を集め続けたものの、前述の通り2019年に13年という長いモデルライフを終了し、約30年の歴史に幕を下ろしました。

 なお最終型の新車価格は約330万円からで、ハイブリッドの上級グレードは500万円超という価格帯でした。

 トヨタが公式に挙げた生産終了の理由は、国内ミニバン市場の縮小予測と車種ラインナップの整理でした。

 しかしその背景には、より複合的な要因が存在します。

 最大の要因は、ラージミニバン「アルファード/ヴェルファイア」との内部競合と考えられます。

 市場の嗜好は、エスティマの流麗さから、アルファードなどが象徴する押し出しの強い豪華なデザインへと完全に移行していきました。

 販売台数では10倍以上の差が開き、ミニバンにステータス性を求めるユーザー層の拡大が、エスティマの立ち位置を徐々に奪っていったのです。

 また、3代目のプラットフォームは2006年から基本設計が変わっておらず、旧態化が顕著でした。年々厳しくなる衝突安全基準や先進運転支援システムの搭載義務化などに対応するには、莫大な開発コストが必要となります。

 決定打となったのは、2020年5月からのトヨタ全販売店での全車種併売化でしょう。

 全店で絶大な人気を誇るアルファードが扱えるようになると、エスティマをラインナップに残す戦略的意義は大きく薄れました。

 エスティマの生産終了は、商品としての魅力が失われた結果ではなく、トヨタの経営判断による「戦略的撤退」であったと結論付けられます。より利益率の高い市場へ経営資源を集中させる過程で、整理される運命にあったといえるでしょう。

 しかしSNS上では、エスティマのデザインに対する再評価が多く見られます。

 現在のミニバン市場を席巻するスペース重視の箱型スタイルや、その迫力を強調する威圧的な「オラオラ顔」とは対照的に、流麗でクリーンなスタイリングが「今見ても古さを感じない」と高く評価されています。

「単なる箱ではない、走りとスタイルを諦めないミニバン」という、現行モデルにはない独自の価値観は、画一化が進む現代のミニバン市場において、かえって新鮮に映ります。

 長年愛用し続けたユーザーはまだ少なからずおり、しかも根強いニーズがあることから、復活の可能性は比較的高いと見られますが、その前提は次世代の電動車として生まれ変わることでしょう。

 パワートレインはBEV(バッテリー式電気自動車)またはPHEV(プラグインハイブリッド)が中核となることが有力視されています。

 新型エスティマは、ノア/ヴォクシーとアルファード/ヴェルファイアの間にある価格面・ポジション面の空白を埋める戦略的モデルになると予想されます。価格帯は500万台から800万円程度が想定されます。

 エスティマという強力なブランド資産を冠したフラッグシップ電動ミニバンの投入は、トヨタにとって有効な一手となり得るでしょう。

※ ※ ※

 エスティマが今なお語り継がれるのは、それが単なる「過去の名車」ではなく、現代の画一的なミニバン市場に対する有効なアンチテーゼだからです。

 その価値は、スペース効率のためにスタイルを犠牲にしなかった、かつてのトヨタが示した一つの理想の中にあります。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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