「ガソリン25円値下げ」ついに実現!? 公明連立離脱の激震…政局混乱でも「暫定税率廃止」は確実か

政治がどう転んでもガソリン価格はリッター25.1円安くなる可能性が濃厚に。自民・高市総裁が野党案の受け入れを表明した矢先、公明党が連立離脱。政権交代の可能性も浮上する中、家計の負担を軽くする減税は実現するのか。その裏で浮上する新たな財源問題も解説。

〜政局がらみ、ガゾリン税暫定税率廃止、重量に応じた新地方税導入など「クルマの税金」が大きく動く〜

 これから先、政治がどう転んでもガソリン税の暫定税率が廃止され、ガソリン価格は25.1円安くなりそうです。

 自民党の高市早苗総裁は10月9日、NHKの番組で次の週に召集が想定される臨時国会での首班氏名を経て首相に就任した際、野党7党が提出している「ガゾリン税の暫定税率廃止法案」を臨時国会で「通さないといけない」と言い切りました。

ついに「ガソリン価格」やすくなる?
ついに「ガソリン価格」やすくなる?

 同法案が通れば、ガソリンは25.1円安くなります。

 なお、高市総裁はガソリンにかかる税金だけではなく、軽油引取税での暫定税率(17.1円分)についても廃止するべきという見解を示しています。

 これは8月21日に与党の自民党と公明党、また野党を代表して立憲民主党による実務者協議の中で、次の臨時国会でガゾリン税の暫定税率廃止法案を通すことに加え、軽油引取税については2026年4月の暫定税率廃止を想定した税の見直しついて合意しており、高市総裁としてはその点を強調したかたちです。

 ところが、政治が大きく動きました。

今後ガソリン価格はどうなる? 高市さんの動きに期待!(自民党総裁選後、就任記者会見する高市早苗新総裁[Photo:時事通信フォト])
今後ガソリン価格はどうなる? 高市さんの動きに期待!(自民党総裁選後、就任記者会見する高市早苗新総裁[Photo:時事通信フォト])

 10月10日夕方、「公明党が連立離脱」のニュースが流れ、永田町では与野党の動きが一気に慌ただしくなっている状況です。

 そうした中、立憲民主党の安住淳幹事長が、首相の指名選挙での決戦投票は組み合わせによっては「政権交代の可能性が出てきた」と発言したと報じられています。

 安住氏は、首相指名選挙での野党の対応を一本化するため各党との協議を続けてきた人物です。

 仮に政権交代が起こったとすれば、「ガソリン税の暫定税率廃止法案」は野党7党で提出しているのですから、次の臨時国会で通るのが筋です。

 つまり、この1週間で政治がどう転んでも、ガゾリン税の暫定税率が廃止される可能性が極めて高くなったと言えます。

 ユーザーとしては「ひとまずは安心」でしょう。

 その上で、気になるのは暫定税率廃止に伴う新たな財源の問題です。

 一部報道では、主に防災の観点から国土強靭化に関する財源としてガソリンなどの燃料課税の可能性について触れています。

 その根拠は、内閣官房の国土強靭化の議論としての「第1次国土強靭化実施中期計画などを踏まえた財政確保法案」を関係省庁で検討することにあります。

 具体的にどのような議論になっているのか、現時点では外部に対する情報がないため、今後の動向を注視する必要があるでしょう。

 さらに、ガソリン税の暫定税率廃止に関する与野党協議を受けて、暫定税率廃止に伴う財源を車体課税で負担するという「噂」が自動車業界で流れました。

 これに対して、自動車メーカー等でつくる業界団体・日本自動車工業会(自工会)は9月18日の定例会見で令和8年度税制改正 重点要望事項の第一項として「ガソリン税暫定税率廃止の代替財源について、車体課税への付け替えやユーザー負担増につながることは絶対反対」と強い口調で主張しています。

 つまり、これは「噂」レベルではなく、国の税制に関する議論の中で何らかの提案があったことを示唆していると言えます。

 そうした中で、税制の議論については重要な人事がありました。

 自民党の税制調査会の会長が8年ぶりに変わり、新たに防衛大臣や党の政調会長などを歴任した小野寺五典氏の起用が決まったばかりです。

 税制調査会は、日本の税制を事実上リードする位置付けにあり、小野寺氏が今後、公明党を含めた野党側とどのように協議を進めていくのか注目されます。

 税制調査会がまとめた昨年の税制改正大綱の中で、2026年度から自動車の車体課税を抜本的に変革することが盛り込まれています。
 
 さらにもうひとつ、自動車に関する地方税についても動きがありました。

 総務省の地方財政審議会が10月6日、自動車税の種別割について車の重量をベースとした新しい指標の導入で一致したとの報道があったのです。

 これは、自工会が昨年要望としてまとめた、所有時の自動車税(軽自動車税)の種別割と、自動車重量税を一本化した新税について重量ベースという考えに合致します。

 なお、自動車重量税にも暫定税率がかかっています。

 このように、10月中旬に召集が想定される臨時国会での首班氏名を踏まえて、年末の税制改正の議論に向け、ガソリン・軽油などの暫定税率廃止を受けての燃料課税について。

 また自動車所得税に関する性能環境割の廃止と自動車税(軽自動車税)+自動車重量税を一本化した新税などの車体課税について、霞が関と永田町界隈ではこれから様々な動きが出てくることになります。

 果たしてどんな結末となるのか、ユーザーとしては目が離せません。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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