かつての低燃費運転の“常識”「ふんわりアクセル」 今は「通用しない」ってホント? 逆に「メリハリ」ある運転のほうが「エコ」なワケ 現代の車に最適な「運転技法」とは?
「ふんわりアクセル」という運転技法があります。一体どのようなものなのでしょうか。また、近年ではやや敬遠されがちだといいますが、どういうことなのでしょうか。
ハイブリッドカーに適したアクセルワークはメリハリが必要
クルマを燃費良く走らせる定番のセオリーとして挙げられるのが「ふんわりアクセル」です。国なども提唱している運転技法となります。
しかし、ハイブリッドカーが普及してきたいま、このセオリーが通用しなくなってきているのです。

ガソリン価格が多少下がったとはいえ、リッターあたり100円を切っていた時代を知っている身からすれば、それでもびっくりするほど高いと言わざるを得ません。
運転の仕方でも燃費は大きく変わってきます。なかでも、どこかで1度は耳にしたり、目にしたであろう「ふんわりとアクセルを踏むことで燃費が良くなる」というものがあります。
国土交通省や環境省などが推奨する「エコドライブ10のすすめ」でも、紹介されています。
たしかに、信号発進の出だしでドカン!と踏みつけるより、メーターの瞬間燃費計やタコメーターとにらめっこしながら、ふんわりとアクセルを踏めば、当然燃費はよくなります。
そして、高いガソリン代に対して、おサイフに心強い味方となるのが「燃費の良いクルマ」です。
ガソリン車およびディーゼル車のような「純内燃機関(ICE)」を持つクルマでも、低燃費のクルマはいくつも存在しますが、すでに一般的になったハイブリッド車もその一翼を担っているといえます。
しかし、ハイブリッド車ともなれば、実は「ふんわりアクセル」はほとんど関係ありません。
ご存知のように、ハイブリッドカーは「エンジンとモーターの組み合わせ(ハイブリッド)」です。
この「モーター」にできるだけ短時間かつ効率よく働いてもらうことで、エンジンの稼働を減らし、燃費を向上させることができる、というわけです。
とはいえ、頭では分かっていても実際にどうやれば良いのか。
すでに実践している人がいるかもしれませんが、ノロノロと加速するよりも、アクセルをある程度グッと踏み込み、モーターのパワーを使ってクルマを加速させます。
目標とする車速、街乗りであれば30km/h〜50km/hくらい、国道のような片側2車線以上であれば60km/h程度まで到達したらアクセルをオフ、あとはなるべくエンジンを使わないように走らせることを意識します。
もちろん運転していると、坂道や追い越し時など、モーターに加えてエンジンのパワーがどうしても必要な場面が訪れます。
そんなときは周囲の流れを意識しつつ、エンジンの燃費効率の良い1500rpm~2000rpmで走るのが燃費をよくするコツです。
また、下り坂はエコドライブにはもってこいの場面です。
坂道や峠道など、頂上の手前でアクセルを離すことでモーターが駆動し、下り坂ではエネルギーをバッテリーに充電(回生)させます。
アクセルから足を離して減速すると、モーターが逆の力を働かせて、発電機となります。タイヤの回転エネルギーを電気に変換する抵抗が「回生ブレーキ」の制動力となるのです。
そして変換された電気はクルマのバッテリーに充電され、次に加速する際に再利用されます。これを繰り返せば、モーターを最大限使うことができ、燃費の向上に役立てるのです。
かといって、発進時や下り坂など、同乗者が不快になるような運転は避けなければなりません。
トヨタ「プリウス」の取扱説明書には「ハイブリッド車運転のアドバイス」として、
「急加速・急減速を控え、スムーズな運転を心がけましょう。ゆるやかに加速・減速することで、より効果的に電気モーターを使用でき、余分なガソリン消費を抑えることができます」
とあります。
また、「加速のくり返しは、駆動用電池の残量を低下させ、結果、燃費が悪化するため控えましょう。走行中、アクセルペダルを少しもどすことで駆動用電池の残量を回復させることができます」
と明記されています。
スムーズな運転は同乗者だけでなく、クルマ(燃費)にも効果的です。
幸いなことに、最近のクルマはディスプレイ上に、タコメーターよりも詳細なアクセルワークを示す表示を設定していることが多く、クルマが適切なエコドライブ(アクセルワーク)について教えてくれるようになっています。
このあたりの機能を有効に活用することで、クルマごとに異なるスムーズかつエコなドライブのポイントを見つけ出してみてください。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。





















































