「黒バイ隊員」のフリをして仙台で無免許運転! 不正改造バイクで事故の交通整理をした男が書類送検 宮城県警には「黒バイ隊」存在せず
宮城県仙台市内において不正改造したバイクを無免許運転した上、暴走族を取り締まる警察官「黒バイ隊員」のフリをして交通整理をおこなったとして、20歳の男が書類送検されました。具体的にどのような状況だったのでしょうか。
警察官のフリをして事故対応も! ネット上では「警察官を目指すべきだった」などの声
2025年8月から9月にかけてオートバイを不正改造し、宮城県仙台市内で無免許運転をした上、事故現場で警察官のフリをして交通整理をおこなったとして、飲食店従業員の男が10月6日、書類送検されました。
実際どのような行為をおこなっていたのでしょうか。

道路運送車両法違反(不正改造)と道路交通法違反(無免許運転)、軽犯罪法違反(称号詐称)の疑いで書類送検されたのは、仙台市泉区に住む20歳の男です。
警察によると男は2025年8月3日、仙台市泉区において自分のオートバイに赤色灯やサイレンを取り付ける不正改造をおこない、8月28日と9月2日には泉区内の道路をオートバイで無免許運転していました。
さらに9月2日の午後、泉区内で発生した交通事故の現場に現れ、物損事故を起こした50代の男性に対し「宮城県警暴取隊です。暴走族の対処部隊となります」などと話して警察官のフリをしたほか、現場で交通整理をしていたということです。
男は黒色のバイクに乗って暴走族の取り締まりをおこなう警察官、通称「黒バイ隊員」になりきっていたものとみられ、当時は両腕に警察のエンブレムが入った黒色のツナギと赤色のチョッキ、黒色のヘルメットを着用していました。
なお黒バイ隊と呼ばれる部隊は複数の都道府県警察に存在するものの、宮城県警では東日本大震災以降、黒バイ隊の運用をおこなっていません。この事案は、近隣住民から「不審なバイクが走っている」「宮城県警に黒バイはいないのでは」などの通報が寄せられたことで発覚しました。
男は警察の調べに対し、「白バイに憧れてオートバイを改造した」「警察官のフリをして危険運転の車両を止めたり、事故車両の誘導をしたりしていた」などと容疑を認めています。
この事案に対してはインターネット上で「憧れがあるのは理解できるけど、それなら警察官を目指すべきだった」「一線を越えたら犯罪だよね」「わざわざ警察官に近づくような現場に出向いて、職務質問されると思わなかったのかな」などの声が寄せられました。
また、「ハロウィンの時もそうだけど、公道で『POLICE』とか本職じゃない人が身につけた場合、どんどん捕まえてほしい」「以前白バイっぽい格好をした男性が話題になったけど、コスプレ感覚で走るのはヤバいと思う」といった意見も上がっています。
今回の事例のように、警察官を名乗ったり警察のバッジが付いた衣服を着用したりする行為は、軽犯罪法第1条第15号に抵触します。
警察官に限らず、消防士や自衛官などの制服に非常に似た衣服を着用している場合も法令違反に当たるおそれがあるため、イベントでコスプレをするときには注意が必要といえるでしょう。
加えて、一般車両に赤色灯を取り付けることも道路運送車両法違反に当たり、法令ではパトカーや救急車のような緊急自動車以外に赤色灯を装着することを禁止しています。
そして一般車両に「POLICE」や「○○警察」といったロゴを入れることも、刑法第166条第2項に規定する偽造公記号使用という犯罪に当たる可能性があります。仮にクルマやバイクをカスタマイズする際には、周囲の人に警察車両と誤信させるようなデザインにしないよう気をつけなければなりません。
そのほか都道府県によっては、道路交通規則で赤色灯と見間違えるような紛らわしいライトを点灯したり、緊急自動車のようなサイレン音を発したりすることが禁止されています。
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インターネット上ではたびたび、白バイ隊員のような格好で活動するバイカーが話題となりますが、警察官に酷似した衣服やバイクなどを使用すると法令に抵触するおそれや警察業務を妨害する可能性があります。
コスプレや車両のカスタマイズなどは節度を持って楽しむことが重要といえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。






















