オートライト義務化でも事故は減らない? 義務化から5年… 薄暮時の事故、2023年から微増のデータも 警察庁が警鐘「ハイビーム活用を」
2020年4月から新型車に義務化された「オートライト機能」。事故防止の切り札と期待されたが、薄暮時の事故件数は下げ止まりの傾向も見られます。警察庁の統計と見解を基に、秋の運転で命を守るためのポイントを解説します。
クルマの「オートライト機能」が2020年から義務化!効果のほどはいかに?警察庁の見解は
最近のクルマには暗くなると自動で点灯する機能が備わっています。
これは2020年4月から販売されている新型車に義務付けられている「オートライト機能」というもの。
義務から約5年が経過しますが、事故防止にどのくらい寄与しているのでしょうか。

最近販売された多くのクルマには、駐車をサポートするバックモニターやペダルの踏み間違い防止システムなど、あらゆる安全機能が付いています。
それらの中でも「オートライト機能」は、2020年4月以降に販売されたすべての乗用車(新型車のみ)に搭載が義務付けられています。
オートライト機能とは走行中のクルマが周囲の明るさを検知し、自動でヘッドライトを点灯したり消灯したりする機能のことで、クルマのエンジンを切ると自動的に消灯します。
なお、2020年4月以前に販売された新型車に関してはオートライト機能の搭載が義務ではないものの、ヘッドライトのスイッチにオートライト機能が追加されている車種もあります。
この場合は、ドライバー自身がスイッチをオートライトに切り替えておくと自動的に点灯・消灯するようになります。
このオートライト機能は完全に真っ暗な夜の時間帯に限らず、夕暮れ時のような徐々に暗くなる時間帯にも点灯するため、特に薄暮時(日の入り時刻の前後1時間)の事故防止に役立つと考えられています。では実際のところ、どの程度の事故防止効果があるのでしょうか。
まずオートライト機能が義務化された2020年4月以前と以降で、薄暮時における事故件数に変化があったかどうかを調査しました。
警察庁によると、2015年~2024年までの薄暮時間帯における乗用および貨物自動車運転者(第1当事者)による交通事故件数は次のように推移しています。
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1 人対車両の事故
7934件(2015年)、7493件(2016年)、7261件(2017年)、6788件(2018年)、6278件(2019年)、5521件(2020年)、5253件(2021年)、5166件(2022年)、5512件(2023年)、5548件(2024年)
●2015年から2022年にかけて事故件数が減少するも、2023年と2024年は微増
2 車両相互の事故
6万2966件(2015年)、5万7955件(2016年)、5万3862件(2017年)、4万8834件(2018年)、4万2869件(2019年)、3万4415件(2020年)、3万3393件(2021年)、3万1931件(2022年)、3万3041件(2023年)、3万1196件(2024年)
●2015年から2022年にかけて事故件数が減少、2023年に増加に転じたものの、2024年に再び減少
3 車両単独の事故
930件(2015年)、816件(2016年)、755件(2017年)、623件(2018年)、542件(2019年)、442件(2020年)、446件(2021年)、460件(2022年)、455件(2023年)、449件(2024年)
●2015年から2020年にかけて減少、以降は大幅な変化なく緩やかに推移
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![薄暮時間帯における交通事故件数(2015年~2024年)[筆者作成]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/10/2e0c6ab07a846705436ff5c5d107452c.jpg)
これらの統計をまとめると、交通事故件数自体が減少傾向にあり、特に2019年から2020年にかけて事故件数の減少幅が大きくなっています。
これは新型コロナウイルスの流行にともなって交通量が減少した影響があるとみられます。
そのため、オートライト機能の義務化による変化があったかどうかは明確に判断できませんでした。
しかし警察庁はオートライト機能の義務化と交通事故の防止効果の関連性について、次のように話しています。
「オートライト機能の義務化については、国土交通省による道路運送車両の保安基準改正により導入されたものですが、警察としても、交通事故が発生しやすい薄暮時間帯には早めにライトを点灯して自分のクルマの存在を周囲に知らせることが大切であり、そうした観点からオートライト機能は、交通事故防止に資するものと考えます」

また薄暮時間帯の運転で注意すべき点について、警察庁は次のように説明しています。
「薄暮時間帯における死亡事故は、10 月から12 月にかけて最も多く発生しているほか、薄暮時間帯や夜間の事故の4割以上は自動車と歩行者が衝突する事故となっています。
自動車運転者としては、早めのライト点灯のほか、ハイビームを上手に活用して遠くの歩行者を早めに発見することが大切です。また速度を落として、慎重な運転を心がけるようお願いします」
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これからの時期は日の入り時刻が早まり、夕方でも視界が悪くなるため、交通事故に一層の注意が必要です。
オートライト機能の有無にかかわらず、早めにライト点灯の意識を持つことや、定期的にライトの点検をおこなっておくことが重要といえるでしょう。























