なぜ危険なベルト化した?「後席シートベルトロック機構」、誤使用による事故多発で不採用進む

2010年頃までに作られた車の後部座席には、シートベルトを全部引き出すとロックしてしまう(巻き戻る方向にしか動かない)機構がほぼすべての乗用車についています。このベルトロック機構はいったい何のためにあるのでしょうか?

チャイルドシートが法制化された2000年頃から自動車メーカーが自主的に採用

 2010年頃までに作られた車の後部座席には、シートベルトを全部引き出すとロックしてしまう(巻き戻る方向にしか動かない)機構がほぼすべての乗用車についています。子どもがベルトを引き出して遊んでいるうちにロック機構が作動し、事故に至ったケースも報告されています。このベルトロック機構はいったい何のためにあるのでしょうか?

後席シートベルトをするイメージ

 後席シートベルトのロック機構はチャイルドシートが義務化された2000年頃から2010年前後までに製造された国産乗用車ほぼすべての後席シートベルトにこの機構がついています。

 正式な名称は「ELR-ALR(Emergency/Automatic Locking Retractor)3点式シートベルト」で、「チャイルドシート固定機構付きシートベルト」とも呼ばれます。

 後部座席の3点式シートベルトは一般的にELR方式が採用されており、通常はELR機能で普通にシートベルトを引き出して装着し、衝撃を受けた際にロックして強い力で乗員の身体を守ります。これにALR機能が付いたシートベルトは、シートベルトをすべて引き出すとロックし、巻き取る方向にしか動かなくなるため、この機能でチャイルドシートを固定します。

「チャイルドシート固定機構は自動車メーカーのボラ(自主的に採用という意味)なので、保安基準などに関わらない部品です。つまり、装備が義務という機構ではありませんし、逆に、装備を外すのも自動車メーカー各社の裁量によって自由に行って良いということになります」(国土交通省自動車局審査・リコール課)

 2008年には国民生活センターから「シートベルトのロック機構にご注意」という警告が出されています。正しく使えばとても便利な機構ですが、マイナス面が目立ってしまい、その後、2009年以降に発売された新型車からは全メーカーで姿を消すことになりました。その代わりに標準装備化が進んだのがISO FIXチャイルドシートに対応するための固定金具です。2012年7月以降の新車にはISO FIX対応の装備が義務付けられることになりました。

各社の後席シートベルトに記載されている注意書き等写真で見る(7枚)

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