ガソリン車の記録を16秒もEVが塗り替えた! VWの電気自動車がコースレコード樹立

VWは、1916年から開催され今年で96回目を迎える「パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム」に電気自動車で参戦しました。従来のドライブチェーンでは成し得なかった記録を1回の挑戦で更新しています。

標高に左右されない電気自動車が新記録樹立

 フォルクスワーゲンと「I.D.R Pikes Peak(アイ ディ アール パイクスピーク)」は、米国コロラド州で6月24日に開催されたパイクスピーク インターナショナル ヒルクライムで新たな歴史を刻みました。

「I.D.R Pikes Peak(アイ ディ アール パイクスピーク)」94号車

 ロマン・デュマ(フランス)は、680馬力の「I.D.R Pikes Peak」を駆り、従来のドライブトレーンを搭載したマシンを含むすべてのクラスで新記録を樹立しました。デュマは、電気自動車による過去の記録を破ったばかりでなく、2013年にプジョー(プジョー208 T16 Pikes Peak)でセバスチャン・ローブ(フランス)が叩き出した総合記録を16秒も上回っています。

 フォルクスワーゲンは、この世界一有名なヒルクライムレースに適合したレーシングカー「I.D.R Pikes Peak」を製作、可能な限り最高のパフォーマンスを引き出せるように、重量を極限まで削減し、ダウンフォースを最大化、最高のパワーが発揮できるように設計されています。

 エアロダイナミクスは、高地のレースで空気が薄いことにより引き起こされるダウンフォースの損失を補うことがポイントとなりました。車両は、フラットで流線形のシャシー、巨大なリアウイングなど、遠くからでも明確に「I.D.R Pikes Peak」と確認することができます。

 フォルクスワーゲンは、充電技術についても新しいアプローチを採用しました。その目標は、環境への影響を最小限に抑えながら、できるだけ迅速にマシンを充電することでした。充電時間はレギュレーションによって定義されており、レースが中断した場合、20分以内に完全に充電できなければなりません。必要な電力は、パイクスピークの麓に設置された発電機から供給されました。

 2017年10月18日にパイクスピーク プロジェクトが発表され、2018年6月24日に新記録を達成するまでの期間は、わずか250日。パイクスでの新記録は、革新的な電気駆動テクノロジーに加え、特別な要件に適合したバッテリー、エアロダイナミクス、シャシーを含む、専用のプロトタイプ マシンを開発することによって達成されました。

「I.D.R Pikes Peak」のドライバーのロマン・デュマ

 今回の新記録についてドライバーのロマン・デュマ(フランス)は、レースについて語っています。

「最高の気分です!今日の結果は、私たちの高い目標をさらに上回るものでした。今週行ったテストの時から、過去の記録を破る可能性があることが分かっていました。それを実現するためには、テクノロジーからドライバーに至るまで、すべてが完全でなければなりませんでした。そして、天候も味方につける必要もありました。すべてがうまくいって、信じられない気分です。パイクスピークで新記録を樹立することができて最高です。フォルクスワーゲンとともにこの素晴らしいタイムを記録できたことがまだ信じられません。

『I.D.R Pikes Peak』は、これまでレースに参戦してきた中で、もっとも印象的なマシンです。電気自動車は、通常のマシンとはさまざまな点で異なりますが、プロジェクトを通じて多くのことを学んできました。チームは細心の注意を払って作業に取り組んでいましたが、同時にリラックスもしていました。私たちは目標とする結果を達成しただけでなく、チームワークでも勝利したのです。このチームの一員になれたことを本当に誇りに思っています」

 ロマン・デュマは、今回見事4回目のパイクスピーク インターナショナル ヒルクライム総合優勝を飾っています。

【了】

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