トヨタが「ハチロク」を復活!? 「愛車に乗り続けるために…」 心臓部4A-GE部品復刻!? 26年発売目指す

TOYOTA GAZOO Racingが、伝説の名車AE86の「4A-GE」エンジン部品を復刻。2025年9月のイベントでシリンダーヘッドとブロックを公開しました。単なる再生産ではなく、現代の解析技術で性能と耐久性を向上。ファンの声に応え、2026年5月頃の発売を目指しています。

ファン待望!AE86の「心臓部」復活! 価格は約70万円、2026年発売へ

 2025年9月13日・14日の2日間、富士スピードウェイで開催された“頭文字D 30th Anniversary 2days”。
 
 そこではAE86に関するヘリテージパーツが展示されました。

ファン待望!AE86の「心臓部」復活! 価格は約70万円、2026年発売へ
ファン待望!AE86の「心臓部」復活! 価格は約70万円、2026年発売へ

 AE86型『カローラレビン』『スプリンタートレノ』は日本国内はもちろん世界的に人気のある車種で、1983年の発売から42年経った現在でも、アフターマーケットを中心に多くのパーツが販売されています。

 しかしさすがに長い年月を経たことで、市場にあるパーツの数も限りが見えていたり、程度の良い中古パーツなども減少してきています。

 とくにエンジンやガラスを用いたライト類などは新品を入手することは不可能に近い状態です。

 そんな人気車種のパーツを新たに、現代の生産技術や知見を活かして復刻させているのが、TOYOTA GAZOO Racingが行うヘリテージパーツです。

 GRヘリテージパーツプロジェクトとは、「思い出の詰まった愛車に乗り続けたい」というユーザーの想いに応えるべく、既に廃盤となっている補給部品を復刻し、純正部品として再販売する取り組みです。現在全8車種、200点以上の部品の復刻、再販売を行っています。

 アフターパーツとして多く流通されている部分ではなく、トヨタという自動車メーカーしかできないようなパーツ製作を主に行っています。

 具体的には、ガラスを使ったライトやワイヤーハーネスといったユーザーがほしいと思うものを用意。

 メーカーしか出せない、走る・止まる・曲がるを中心にパーツを選定して開発を行っているそうです。

 今回のイベントでも様々なパーツが展示されました。

 目玉となるのは、『カローラ』『スプリンター』シリーズのスポーツ系モデルとして1983年に登場したAE86型カローラレビン、スプリンタートレノに搭載された4A-GEエンジンのシリンダーヘッドSUB-ASSY、シリンダーブロックSUB-ASSYの2パーツです。

 担当者によると「シリンダーヘッドやシリンダーブロックの紙の設計図は残っていましたが3D CADデータではなかったので、まず紙の設計図を3D CADに変換し、そこから新たな図面を作り上げた」といいます。

 そこに86関連のイベントで集めたユーザーの声や、ショップの意見を汲み取って今回のシリンダーヘッドとエンジンブロックの復刻させたそうです。

 3D CAD化したことでパソコン上でのシミュレーションも行えるようになり、当時の基本的な設計やスペックをそのままにしつつも、現代の解析技術を駆使して開発を行っているとのことです。

 具体的には、シリンダーヘッドSUB-ASSYでは燃焼室に切削加工を追加し、鋳肌をそのまま残した部分の面積を減らすことで、圧縮比のばらつきから生まれるエンジンごとの個体差を低減させています。

 また、吸気ポートに塗型処理を施し、未加工状態での表面の凹凸を軽減したほか、オリジナル部品では一部箇所のみで使用されていたカムキャップのノックピンを全箇所に追加することで、カムシャフトを組付る時の作業性が改善されています。

 シリンダーブロックSUB-ASSYでは、シリンダーボアに現代のホーニング処理を施してボアの加工精度を向上。

 材料の鋳鉄は、当時よりも高剛性のものを使用し、シミュレーションをもとにクランクキャップ構造に変更を加えることで、耐久性も向上しているとのことです。

 シリンダーヘッドまわりはユーザーからの声が多かったAE92型後期エンジンをベースに作られており、吸排気ポートの肉厚化なども行われています。

 オリジナルとして使用することが前提ですが、ショップによっては加工することもありえるので、その加工を施しても平気な余白を少し設けているそうです。この辺りがユーザーやショップの声を反映させている部分だと言います。

 AE86型の4A-GEエンジンはシリンダーに流す空気と燃料の混合気を、横の渦をまくスワール燃焼を採用していましたが、AE92型の4A-GEエンジンでは縦に渦をまくタンブル燃焼へと変化しています。

 このタンブル燃焼をより効率よく行えるように、今回復刻させたエンジンシリンダーヘッドではさらに細かい加工が施されているといいます。

 バルブやカムシャフトなどは当時の物が装着できるようになっているほか、カムキャップのノックピンを全箇所に追加することで、カムシャフトを組付る時の作業性を向上させるなど工夫も施されています。

 一方のシリンダーブロックSUB-ASSYはAE86だけでなく、FF車にも搭載できるように、横置き設置用のボスとリブが追加されているのが特徴です。

 クランクキャップもシミュレーションを駆使して少し剛性をあげているそうです。

 エンジンを縦置き、横置きどちらにも対応できるように、パイプやインマニ、エキマニの取り回しに配慮した形で、最大公約数的にボスの取り付け位置などを決めたそうです。

 AE86や4A-GEのユーザーの声を多く聞き、困りごとや要望を取り込みながら今回の復刻として開発に至ったそうです。

※ ※ ※

 シリンダーヘッドSUB-ASSY、シリンダーブロックSUB-ASSYそれぞれ、69万3000円(税込・予定)で2026年5月ごろの発売で300機を想定しているそうです。

 なおヘリテージパーツブースでの先行予約も行われていました。

 この値段に関しては、予約台数や資材の値段が上下することもありえるので、あくまでも想定での値段を設定しているとのことです。

 300機という個数もあくまでも想定台数だといい、予約状況などによっては販売が見送られる可能性もあるとのこと。

 このエンジン部品を組み付けた4A-GEエンジンを搭載し、販売中のGRヘリテージパーツを使ってレストアしたAE86も展示されています。

 新しい車両やパーツの開発だけでなく、ヘリテージパーツにも注力しているトヨタとTOYOTA GAZOO Racingの本気度が見えた展示でした。

【画像】これはすごい…! 状態良すぎなハチロクを見る!(30枚以上)

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Writer: 雪岡直樹

1974年東京生まれ。フォトスタジオアシスタントを経てフリーランスのフォトグラファーへ。雑誌やWeb媒体の撮影を担当。自動車雑誌の撮影と並行してユーザーインタビューやイベントレポートを担当することで、ライターとしても活動。国内最高峰のレース「SUPER GT選手権」を長年取材。新車情報やレースレポート、イベントレポートなどを雑誌やWebに寄稿する。

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