「最高速度472キロ!」 3000馬力超の「ハイパーカー」現る!? BYD高級ブランド仰望が「U9最上級モデル」を中国で発表

中国「BYD」の超高級ブランド「仰望(ヤンワン)」が3000馬力超のスーパーカーを発表しました。いったいどのようなクルマなのでしょうか。

純電動車として世界最速記録を達成!

 中国「BYD」の超高級ブランド「仰望(ヤンワン)」が純電動ハイパーカー「U9」の最上級モデルを発表しました。最高速度472.41 km/h、出力3000馬力超という驚異的なスペックを誇る新型車の詳細に迫ります。

まさにハイパースペック!? 仰望の「U9 トラックエディション」
まさにハイパースペック!? 仰望の「U9 トラックエディション」

 世界でもっとも多くの電動モデル(BEV/PHEV)を販売する中国の「BYD(中国語:比亜迪)」は、元は1995年に広東省深セン市に設立されたバッテリーメーカーに端を発します。2003年、陝西省に本拠地を置く国営自動車メーカー「西安秦川汽車」を買収したことにより、自動車部門「BYD汽車」がスタートしました。

 現在はバッテリーや自動車のみならず、内燃機関や半導体、各種自動車用コンポーネンツ、電子機器の樹脂部品、電動交通システムなど、幅広い製品を手がける一大企業にまで発展しました。

 2024年には全世界で427万2145台を販売、そのうち電気自動車(BEV)が176万4992台で42%、プラグインハイブリッド車(PHEV)が248万5378台で58%を占めます。2025年上半期では前年同期比33.04%増の約214万6000台を記録しました。

 また、2023年1月から日本でも乗用車を販売しており、2025年7月末時点でこれまでに5530台を販売しています。現在はBEVのみを販売していますが、2025年末には日本向けに販売するPHEVを、2026年後半には日本市場専用設計の軽規格BEVも投入予定です。

 BYDの乗用車は本家BYD以外に、メルセデス・ベンツとの合弁で設立された「騰勢(デンツァ)」や、プレミアムEVブランド「仰望」、そしてオフロードEVブランド「方程豹」なども同時に展開しています。

 「仰望」は2023年に誕生したブランドで、今までの商品群よりもさらにプレミアムなEVを取り揃えます。現在はフルサイズセダン「U7」、フルサイズオフロードSUV「U8」、そしてハイパーカー「U9」の3モデルで構成されています。

 そんな中、純電動ハイパーカー「U9」の最上級モデルに関する情報が明らかとなりました。この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)の公式サイトです。工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが中国国内で製造する新型モデルを正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があります。

 明らかとなったのは「U9 トラックエディション」で、サーキットといった本格的な環境におけるパフォーマンスを目指したモデルです。

 ボディはすでに販売されている通常のU9と大差なく、特徴的な大型のリアウィングもそのままです。このため、ボディサイズも全長4966mm×全幅2029mm×全高1351mm、ホイールベース2900mmと変わりはありません。一方でオプション装備としてよりワイドになったカーボン製のフロントディフューザーなどが用意されており、より優れた空力性能を実現していることでしょう。

 肝心のパワートレインは出力754 PS(555 kW)のモーターを4つ搭載、合計出力3018 PS(2220 kW)という驚異的な性能を誇ります。通常モデルでも同じく4つのモーターを搭載しますが、合計出力は1306 PS(960 kW)となります。

 搭載する駆動用バッテリーの詳細は不明なもの、通常モデルではBYD製容量80 kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載しているので、同等のバッテリーになると予想されます。なお、一充電航続距離は中国独自のCLTC方式で480 kmと公表しています。

 2025年8月29日にはU9 トラックエディションの試作車がドイツにある試験場にて最高速度472.41 km/hを記録したと発表されました。同じ試験場で2024年6月に日本製のアスパーク「アウル SP600」が記録した438.7 km/hを塗り替え、純電動のクルマとしての世界最速記録を達成しました。

 U9の記録達成を実現したのは自社開発の「e4プラットフォーム」という4モーター駆動システムと、可変ダンピング技術を組み合わせたハイドロニューマチックサスペンション「DiSus-X」、そして1200 Vという超高電圧プラットフォームによるものとBYDはしています。

 それぞれの車輪を100 Hz以上の周波数で緻密に制御しつつ、DiSus-Xで路面状況や加減速に合わせてサスペンションをコントロールすることで、コンフォートとハイパフォーマンスの両方を実現したと言います。

 U9 トラックエディションの正式発表時期と販売価格はまだ不明ですが、工信部に登場したということは正式発表がもう間もなくであることを意味します。2025年11月には中国の国際的なモーターショーのひとつ「広州モーターショー」の開催も予定されており、そこでなんらかの詳細が発表されることに期待します。

まさにハイパースペック!? 仰望の「U9 トラックエディション」

 そんな中、純電動ハイパーカー「U9」の最上級モデルに関する情報が明らかとなりました。この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)の公式サイトです。工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが中国国内で製造する新型モデルを正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があります。

 明らかとなったのは「U9 トラックエディション」で、サーキットといった本格的な環境におけるパフォーマンスを目指したモデルです。

 ボディはすでに販売されている通常のU9と大差なく、特徴的な大型のリアウィングもそのままです。このため、ボディサイズも全長4966mm×全幅2029mm×全高1351mm、ホイールベース2900mmと変わりはありません。一方でオプション装備としてよりワイドになったカーボン製のフロントディフューザーなどが用意されており、より優れた空力性能を実現していることでしょう。

 肝心のパワートレインは出力754 PS(555 kW)のモーターを4つ搭載、合計出力3018 PS(2220 kW)という驚異的な性能を誇ります。通常モデルでも同じく4つのモーターを搭載しますが、合計出力は1306 PS(960 kW)となります。

 搭載する駆動用バッテリーの詳細は不明なもの、通常モデルではBYD製容量80 kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載しているので、同等のバッテリーになると予想されます。なお、一充電航続距離は中国独自のCLTC方式で480 kmと公表しています。

 2025年8月29日にはU9 トラックエディションの試作車がドイツにある試験場にて最高速度472.41 km/hを記録したと発表されました。同じ試験場で2024年6月に日本製のアスパーク「アウル SP600」が記録した438.7 km/hを塗り替え、純電動のクルマとしての世界最速記録を達成しました。

 U9の記録達成を実現したのは自社開発の「e4プラットフォーム」という4モーター駆動システムと、可変ダンピング技術を組み合わせたハイドロニューマチックサスペンション「DiSus-X」、そして1200 Vという超高電圧プラットフォームによるものとBYDはしています。

 それぞれの車輪を100 Hz以上の周波数で緻密に制御しつつ、DiSus-Xで路面状況や加減速に合わせてサスペンションをコントロールすることで、コンフォートとハイパフォーマンスの両方を実現したと言います。

 U9 トラックエディションの正式発表時期と販売価格はまだ不明ですが、工信部に登場したということは正式発表がもう間もなくであることを意味します。2025年11月には中国の国際的なモーターショーのひとつ「広州モーターショー」の開催も予定されており、そこでなんらかの詳細が発表されることに期待します。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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