時速177キロ暴走に「罰金刑は軽すぎる」 札幌高裁が下した厳罰判決にネット賛同!? 速度超過に鉄槌、どんな事案? 元警察官が解説

日々、全国各地で交通違反の取り締まりがおこなわれています。そうしたなかで先日、北海道・札幌高裁において、大幅な速度違反で検挙された男4人に対し懲役4か月(執行猶予2年)の有罪判決が言い渡されました。検察が異例の控訴をしたことが話題となっていますが、一体どのような事案だったのでしょうか。

最高速度の2倍を超えるスピード違反者らに有罪判決!裁判では検察が「罰金刑は軽すぎる」として異例の控訴も

 先日、北海道・札幌高裁において、大幅な速度違反で検挙された男4人に対し懲役4か月(執行猶予2年)の有罪判決が言い渡されました。

 この裁判に関しては検察が異例の控訴をしたことが話題となっていますが、一体どのような事案だったのでしょうか。

速度の出しすぎは事故に直結!(画像はイメージです)
速度の出しすぎは事故に直結!(画像はイメージです)

 日々、全国各地で交通違反の取り締まりがおこなわれています。

 警察庁によると、2024年中の交通違反の検挙件数は514万3671件であり、単純計算では1日あたり1万4000件以上も検挙されていることになります。

 検挙件数は「一時不停止」が117万7924件で最も多く、次いで「最高速度違反」の84万7378件、駐車違反関係の「放置違反金納付命令件数」の63万5787件と続きます。

 なお交通違反の多くは「青切符」によって検挙されています。

 青切符とは運転者が違反点数3点以下の比較的軽微な交通違反をしたときに交付される書面で、この場合一定期間内に反則金を納めれば刑事罰の対象とならずに違反が処理されます。

 たとえば一時不停止は違反点数が2点、普通車で反則金7000円の違反であり、決められた期間内に反則金を納付すれば、その時点で一時不停止の違反処理が終了します。

 その一方で、違反点数が6点以上といった重大な交通違反は青切符で処理することができないため刑事罰の対象となり、検察による取り調べの後、裁判所でどのような処分となるかが決定します。

 特に最高速度違反については、一般道路で「時速30キロ以上50キロ未満」、高速道路で「時速40キロ以上50キロ未満」の速度超過をすると違反点数が6点、また「時速50キロ以上」の速度超過では違反点数12点が加算されるため、スピードを出し過ぎないことが重要です。

 この最高速度違反の罰則をめぐっては先日、北海道の札幌高裁において男4人に対し懲役4ヶ月(執行猶予2年)の有罪判決が言い渡され、その後確定したことが話題となっています。

 有罪判決を受けたのは北海道の北見総合振興局管内に住む大学院生や漁師など4人で、そのうち3人は2024年9月に佐呂間町において、最高速度が時速60キロの一般道路を時速126~133キロで走行し、可搬式オービスによって検挙されました。

 もう1人については2024年6月、江別市内の高速道路で最高速度が時速100キロのところ、時速177キロで走行して検挙されたということです。

 当初、検察は男4人について2025年2月の1審で懲役4か月を求刑したものの、釧路地裁北見支部は求刑が重すぎるとして、懲役刑ではなく罰金10万円を言い渡しました。

 この1審を受けて検察は、「3人は最高速度の2倍を超える大幅な速度違反をしているにもかかわらず罰金刑とは判決が軽すぎる」などとして、4人を控訴しました。

 最高速度違反の刑事裁判で検察が立て続けに控訴するのは異例のことであり、裁判の行方に注目が集まっていました。
 
 そして2025年7月におこなわれた札幌高裁の2審で、裁判所は「高速度の運転は大変危険」とした上で男4人に上記の有罪判決を言い渡し、その後確定しました。

 北海道には広くて長い直線道路が多いためドライバーがスピードを出しやすく、これまで重大事故が多く発生しています。

 そのような事情から最高速度違反の量刑も重くなる傾向にあり、今回の有罪判決につながったといえるでしょう。

 このニュースに対してインターネット上では「知らない人も多いと思うが、北海道の郊外はこのくらいの速度出して走るのが全然珍しくもない」「北海道の道東エリアはそんなクルマばかりですよ。しょっちゅう見ます」など、北海道の道路事情に関する声が聞かれました。

 さらに「当人達は軽く考えているものと思うが、控訴の判断は妥当と感じる」「速度超過は容易に死亡事故に発展するので、もっと厳しく取り締まって欲しい」など、最高速度違反の厳罰化に関して好意的な意見が多く寄せられました。

※ ※ ※

 警視庁が2020年から2022年までの過去3年間の交通事故をまとめた統計によると、事故直前の速度が早いほど致死率が高まることが判明しています。

 具体的には「時速140キロ以下」と「時速160キロ以下」では致死率が50%、「時速161キロ以上」では致死率100%という結果が出ており、高速度による運転の危険性の高さがうかがえます。

 道幅が広くて周囲に車両が走っていないなど、たとえスピードを出しやすい状況であっても、決められた速度を守って運転することが大切です。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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