2年ぶり「全面刷新」! 三菱「新型“軽SUV”」初公開! 便利なスライドドア採用の「デリカミニ」“こだわりポイント”とは

三菱は2025年8月22日、2年ぶりの全面刷新を遂げた新型軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」の情報を初公開。今回は、メディア向けに開催された事前説明会で開発責任者にそのこだわりを聞くことが出きましたので、レポートします。

2つの説得を経て

 三菱は2025年8月22日、2年ぶりの全面刷新を遂げた新型軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」の情報を初公開。

 先行予約を開始しました。

 今回は、メディア向けに開催された事前説明会で開発責任者にそのこだわりを聞くことが出きましたので、その詳細をお伝えします。

かなりキープコンセプトなデリカミニ…こだわりポイントは?
かなりキープコンセプトなデリカミニ…こだわりポイントは?

 お話をうかがったのは、三菱商品戦略本部チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔さんで、先代となる初代デリカミニも担当していました。そこでまず、今回のモデルチェンジで一番やりたかったことから聞いてみました。

藤井:内装をデリカミニ専用にしたかったというところがまず大きくあります。先代は、外装はデリカミニですが、中に乗ると、シート生地は変えられたもののそれ以外は従来の「eKスペース」と変わりませんでした。それからやはり三菱、四駆、デリカときたらやっぱり走行モードをダイヤルで触りたいですよね。その2つが大きかったですね。

Q:その結果として新型デリカミニ専用のインパネ周りが完成したのですね。しかし、NMKV(日産・三菱の合弁会社)として共同開発のクルマですから専用にするのは難しかったと思います。

藤井:そこには2つの説得がありました。1つは三菱に対してです。こちらは会社のマインドとして三菱らしいクルマをちゃんと作れ、これぞ三菱という商品じゃないとダメだというのが経営トップから降りてきていますので、非常にやりやすかったです。

 もうひとつは、日産に対して三菱としてこういうことをやりたいという理解を求めていくことでした。そのために我々のテストコースを走ってもらって、こういうところで評価をして、こう仕上げていきたいんだと説明していったのです。

できたところとできなかったところ

Q:では初代デリカミニユーザーなどの声から、このクルマの強みや弱みが見えて来たかと思いますが、いかがでしょう。

藤井:まず強みはクルマとしてのキャラクターの強さです。それからお客様のクルマに求める満足度、情緒的価値の高さがあります。これは、自分は(人とは)違うクルマに乗っているという満足感があるようです。例えばデリカには、普段は使いませんがいざとなればオフロード性能が高いという独自のキャラクターがあります。それがデリカミニにも近い機能があるという満足感です。

 一方の弱みではあまり大きなものはありませんでしたが、やはり多かったのは他と内装が一緒だから残念とか。それ以外だとシートがフラットにならないとか、シートバックテーブルが片側にしかないので、それが両方欲しいとか。こういったことは全部解決できました。

 実はひとつだけできなかったことがあるんです。デリカミニの燃料タンクは27リッターで他の軽自動車とほぼ同じです。でもユーザーさんからはもっと大きなタンクが欲しいというご要望を頂いていました。

 他の軽自動車ではそういった声は聞かなかったのですが、デリカミニユーザーは結構アクティブに使われるユーザーが多くて遠出をする機会が多いからなんです。ただレイアウトの関係もあり今回も同じサイズになってしまいました。これは本当に心残りで、オーナーミーティングでまたいわれてしまいます(苦笑)。

キープコンセプトのエクステリアデザイン

Q:では今回デリカミニのフルモデルチェンジで、藤井さんが最も強調したいことはなんでしょう。

藤井:四駆性能とかはもちろん三菱なのでPRしたいところですが、全員が四駆性能を求めているわけではありません。ですから一番はデザイン性です。これぞデリカミニというエクステリアのデザインと今回こだわった内装をいちばんアピールしたいところです。

Q:エクステリアデザインはキープコンセプトですね。

藤井:はい、基本路線を大きく変えることはしませんでした。変えると“デリ丸。”も変えなくてはいけないでしょう(笑)。いまのかっこかわいくて愛くるしい表情と、一番のシンボルになっている半円形のシグネチャーランプは踏襲しています。

 さらに三菱らしいクルマ、特にデリカのネーミングを冠していますので、デリカらしさをお客様に感じていただけるクルマにしたい。基本的にはこの2つで、先代から変わっていません。

Q:実際にデザイナーから案が出てきた時にどう思いましたか。

藤井:うまく進化させたなと思いました。ただ、ランプの大きさとかボンネットフードの角度を少し変えるだけで、可愛すぎたり精悍さが増すなど表情が変わるんです。初代がちょうどいいと思っていたので、それを崩さないかどうかが心配になりましたので、少しずつ変えたバージョンを見ながらどの辺がいい頃合いかを探っていったんです。

Q:いま「デリカらしさ」というワードが出ましたが、藤井さんにとってデリカらしさとは何ですか。

藤井:いろんな見方があると思います。商品としては形とか四駆性能とかになりますが、お客様目線では、大切な家族や仲間との楽しい時間や大事な時間を過ごせる空間というのが一番の基本コンセプトです。

 そのためによりアクティブな活動ができるような仕様や、それを裏付ける安心感のあるタフな外観にしたり、広い室内空間を確保したり、それぞれ狙いに合わせてクルマとして出来上がっているわけです。

 基本的にはデリカミニも“デリカ”の名前を冠するからには、その一番の基本コンセプトにはこだわっていきたい。デリカが目指したタフなデザインや高い走行性能はいろんな路面でも安心して走ることができるわけですが、軽自動車にそのまま持ってくるとさすがにそれはオーバースペックになってしまいますので、ちょうどいいバランスでいかに入れ込むかを突き詰めていきました。

 ですから新型では静粛も高めています。家族と会話する時間も大事にしたいですし、その時に例えばオフロードを走っていて乗り心地があまり悪かったら、楽しい時間を過ごせないですよね。そういうところはこの新型デリカミニでもこだわっています。

 また、先進機能を今回いろいろ追加しました。そういったところも軽の枠を超えたクルマに仕上がっています。一度試乗していただくとこれまで軽自動車に乗ったことのない方でもきっと満足いただけるレベルに仕上がっていると思います。

 パッと見るとそれほど変わっていないように見える新型デリカミニ。先代と見比べるとかなりの規模での変更が見られるのですが、そこまでイメージを踏襲しているのは珍しいこと。それだけデリカミニが市場に浸透していることがうかがわれました。

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