なぜ車の「謎のバイザー」は「勝手に」付けられてくる!? 最近は「付いてこない」例も増加中? 非装着でも「大丈夫」な理由とは

「フロアマット」や「ナンバーフレーム」と並び、新車でよく選ばれるオプションのひとつである「サイドバイザー」。喫煙率が下がっている今でも、国産車では装着派が多くいる理由は何なのでしょうか。

当たり前に「付けられている」もの!? 「サイドバイザー」の意味とは

 街中を走行するクルマの窓枠を見ると、多くについている「サイドバイザー」。

 そんなに必要なさそうにも見えるものですが、なぜここまで装着率が高いのでしょうか。

 絶対に付けないといけないものなのでしょうか。

クルマに装着される「ドアバイザー」は必要? それとも不要!?
クルマに装着される「ドアバイザー」は必要? それとも不要!?

 サイドバイザーを装着していてよかったなと思うのは、雨の日に窓を少しだけ開けられること。

 真夏の暑い日に、車内の換気のため窓を開けておくというユーザーに聞くと、防犯上でサイドバイザーが役に立つという話も聞きます。

 しかし、雨の日に窓を開けるというシチュエーションは、エアコンが高性能化した昨今ではほとんどなく、車内でタバコを吸う愛煙家の方々に重宝されるくらいです。

 それなら、大幅に減少しつつある国内の喫煙率とサイドバイザーの装着率はリンクしてもいいはずなのですが、街で観る限りは両者の数字に相関関係はなさそうです。

 一方、輸入車やレクサス車などの高級車を見ていくと、国産車よりは装着率がグンと下がります。

 レクサスディーラーで話を聞くと、トヨタ店では6割近い装着率のサイドバイザーが、レクサス店の新車注文時には3割くらいの装着率に下がるというのです。

 輸入車ディーラーやレクサスでは、クルマのデザイン担当から「デザインに自信があるのでサイドバイザー無しで乗ってほしい」というお願いも出るようで、新車のサイドバイザー装着には、慎重な姿勢をみせています。

 確かにクルマのデザインを損ねることも考えられますし、洗車の時には洗いにくく、走行中の風切り音などが気になることもあるサイドバイザー。装着時には、便利というメリットだけでなく、デメリットも多くあるオプションです。

 実際にサイドバイザー装着が多い、国産車を取り扱う新車ディーラーで話を聞いてみると、サイドバイザー装着率が下がらない理由のひとつがみえてきました。

 高い装着率の背景には、ディーラーの強いおススメがあったのです。

 ディーラーのショールームで働くセールスマンは、サイドバイザーについてこう語ります。

「見積書を作る時点で、必ず入れるようにしています。外してと言われるまでは入れっぱなしです。

 サイドバイザーは装着に時間がさほどかからないオプションで収益も大きいため、オススメ品として装着を強く推奨する商品です」

 パソコンで見積書を作る昨今では、見積書作成画面を立ち上げると、デフォルトでフロアマット・サイドバイザー・ナンバーフレームがオプション品として入力された状態になっているというお店もあるのだといいます。

 そんなこともあってか、ユーザーの中には、サイドバイザーはオプションではなくそもそも付いていて外せないものという認識を持った人も結構な数がいると、前出のセールスマンは話します。

 ただ、サイドバイザーよりも収益性の高いオプションがいくつかあります。フロアマットやボディコーティングが最たる例です。

 近年、国内ディーラーの中では、販促商品をサイドバイザーからマットやコーティングに切り換えて、要望がなければサイドバイザー無しで納車するというところも増えてきています。

※ ※ ※

 サイドバイザー装着に関しては、少なくとも「勝手に付いてくる状態」は止めて、ユーザーに選んでもらうということが大切ではないでしょうか。

 何よりもカーデザイナーが、サイドバイザーを装着したクルマを見るとガッカリするのであれば、本当に必要な人以外、装着することは控えた方が良いようにも思うのです。

 何十年も変わらないクルマの売り方は、今が変革の時です。

 当たり前と化しているサイドバイザー装着に関して、ユーザー側からの声を上げることも、必要な時代になってきています。

【画像】「えぇぇ!」 これが「ドアバイザー」を装着する理由です!(15枚)

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Writer: 赤羽馬

金融業・自動車ディーラー営業マンを経て、ライターとして独立。幼少期からの自動車カタログ収集癖あり。エンドユーザーに役立つ話や経済・金融とクルマに関する情報を発信中。

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