言い訳にならない! 「仕事が忙しい」を理由にひき逃げの出頭要請に応じなかった男を逮捕! 一体何があったのか 元警察官が解説

兵庫県警は先日、ひき逃げをしたにもかかわらず「仕事が忙しい」などとして警察の出頭要請に応じなかった男を逮捕しました。では、一体どのような事案だったのでしょうか。

ネット上では「仕事が忙しいとか理由にならない」「免許を持つ資格無し」など厳しい声

 兵庫県警は8月20日、ひき逃げを起こしたにもかかわらず、「仕事が忙しい」などと言って警察の出頭要請に応じなかった49歳の男。

 そんな男を自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(救護義務違反)の疑いで逮捕しました。

 では、一体どのような事案だったのでしょうか。

驚愕!50年以上「無免許運転」を続けた男が自転車ひき逃げで逮捕!「警察にバレるのが怖かった」(画像はイメージ/フォトAC)
驚愕!50年以上「無免許運転」を続けた男が自転車ひき逃げで逮捕!「警察にバレるのが怖かった」(画像はイメージ/フォトAC)

 逮捕された男は8月12日の午後3時半頃、兵庫県姫路市内の県道において軽乗用車を運転中、渋滞で止まっていた別の軽乗用車に追突。

 運転していた42歳の女性に腰椎捻挫の軽傷を負わせたものの、救護することなく現場から走り去った疑いが持たれています。

 警察によると、女性のクルマのドライブレコーダー映像などから男が事故に関与した疑いが強まり、男自身も事故当日の午後4時半頃に警察に連絡をしてきたということです。

 しかし男は警察に出頭を求められた際に「仕事が忙しい」などとして応じなかったため、今回の逮捕につながりました。

 男は警察の調べに対し「事故を起こして相手にケガをさせたのは間違いないが、逃げてはいない」と話し、容疑を一部否認しています。

 今回の事案のように、たとえ警察に事故の連絡を入れた場合でも、警察の出頭要請に応じなければ「逃亡するおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があるとみなされ、逮捕される可能性があります。

 この事案に対しインターネット上では「仕事が忙しいとか出頭しない理由にならないでしょ」「逃げずに通報して対応すればただの追突事故で済んだのにね」「仕事と人命のどちらが優先なのかもわからない責任感のない者。免許を持つ資格無し」などの声が寄せられました。

 そもそも交通事故を起こした際には、道路交通法第72条の規定により、次のように対応する必要があります。

ーーー
●ただちに車両の運転を停止する
●負傷者を救護する
●道路に落ちている車両の破片を取り除く、周囲の車両に事故を知らせるなど、道路における危険を防止するための措置を講じる
●事故の発生日時、場所、負傷者の数・負傷の程度などを警察に知らせる(110番通報や警察署・交番への通報など)
ーーー

 ドライバーの中には事故を起こして気が動転してしまう人もいますが、最低でも負傷者を第一に救護すること、警察に事故を知らせることは覚えておくべきといえるでしょう。

 また事故に限らず、交通違反関係の出頭要請に応じなかった場合も逮捕されるおそれがあります。

 たとえばオービスによる速度違反の検挙があった場合、後日速度違反の通知書が違反者の自宅に届き、警察への出頭を求められるのが一般的ですが、この手続きに関して埼玉県警のウェブサイトでは以下のように説明しています。

「正当な理由がなく、再三の呼び出しに応じない場合は、強制捜査の手続きに移行する場合があります。 運転者からの連絡があっても、故意に出頭しない状況が認められる場合も同様です。『仕事が忙しい』は、正当な理由とならない場合があります」

 つまり、出頭要請にはできる限りすみやかに応じることが重要といえるでしょう。

 さらに交通違反で検挙された後、反則金を納付せず警察からの出頭要請に応じなかった場合も逮捕される可能性があり、2024年6月には警視庁が、再三の出頭要請に応じなかった交通違反者292人を道路交通法違反の疑いで逮捕しています。

 交通反則金の未納付について警察は「逃げ得は許さない」とのスタンスを明確にしており、今後もその傾向は続くものとみられます。

※ ※ ※

 事故を起こした際は負傷者の救護、警察への通報、道路での危険防止措置などをおこなわなければなりません。

 SNS上では「事故に遭遇したときの『やることリスト』メモをクルマに置いておくのおすすめ」との声も寄せられており、日頃から万が一の事故に備える心がけが大切です。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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