マツダの「“和製”スーパーカー」に注目! 超軽量“675kg”ボディד3ローター”「450馬力」エンジン搭載!? 超“流麗”デザインもカッコいい「FURAI」米国出展モデルとはなんだった?
かつてマツダが発表したコンセプトカーの「風籟(ふうらい)」は、単なるデザインスタディにとどまらず、実際にサーキット走行も可能な実車がつくられた本格的なコンセプトカーでした。どのようなクルマだったのでしょうか。
「走って魅せた」伝説のコンセプトカーの衝撃とは
2008年の北米国際自動車ショーで発表されたコンセプトカー、マツダの「FURAI(風籟:ふうらい)」。
流麗なデザインに加えて、実際に走行可能な実車として開発された点でも注目を集めました。
その内容について振り返ってみましょう。

2000年代中盤、マツダは自社の新たなデザインの方向性として「Nagare(ながれ)」を提案しました。
Nagareとは、「動き、エネルギー、軽やかさといった要素を、“流れ”として造形やラインで表現するデザイン哲学」のこと。
マツダはこのコンセプトを以降に発表するモデルにも継続的に取り入れ、深化させていく方針を表明。その第一弾として、2006年11月のロサンゼルスオートショーでコンセプトカー「流(ながれ)」を公開しました。
流(ながれ)は、その名のとおり流れるようなボディラインをもち、ボディサイドのキャラクターラインも特徴的。前席中央に1人、後席3人という4人乗りレイアウトやガルウイングドアの採用などによって、大いに話題を呼びました。
翌2007年には第2弾の「琉雅(りゅうが)」、第3弾の「葉風(はかぜ)」、第4弾の「大気(たいき)」と、マツダは次々にNagareシリーズのコンセプトカーを公開。
続く第5弾として、2008年1月にデトロイトショーで公開されたのが、今回紹介する“FURAI”でした。
「風を切りながら突き進むレースカー」をイメージした名がつけられたFURAIは、前作「大気」の意匠を継承したエクステリアデザインをもちます。
フロント周辺には空気の流れをイメージした造形が施され、ボディサイドのスリッドやキャラクターラインも、車両後方に向かって滑らかに流れるように繋げました。
リアタイヤ周りの造形は大気とは違い、より一般的なレーシングカーに近いデザインが採用され、リアエンドには大型ウイングを装着することで強烈なダウンフォースを生み出す、まさにレーシングカーらしい仕様となっています。
ドライバーの着座位置をホイールベースの中央より前側に配置した「キャビン・フォワード」レイアウトの2シーター仕様だったFURAIは、実走行も想定され、2005年から2006年シーズンに「アメリカン・ル・マン・シリーズ」に参戦していた「クラージュ C65 LMP2」のシャシーが採用されていました。
これによって、低重心かつ美しいシルエットを保ちながらも、前作の大気よりも現実的なパッケージングに。車両重量はわずか675kgと、極めて軽量に仕上げられていました。
搭載されたエンジンは、3ローター仕様で最大出力450馬力のロータリーエンジンで、燃料にはBP社製のE100エタノールが使用されており、環境への配慮もなされていました。
ロータリー特有の甲高い音を奏でながら、実際にサーキットを爆走する様子が公開された際には大きな話題となり、筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)も強く印象に残っています。
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FURAIはその後、英国自動車メディア「Top Gear(トップギア)」によるテスト走行中に事故を起こし、残念ながら全焼となってしまいました。
結果として、「幻」となってしまったコンセプトカーですが、流麗なデザインと圧倒的なパフォーマンス、そして環境性能とを両立したスーパーパフォーマンスカーとして、FURAIはいまなお多くの人の記憶に強く残っていることでしょう。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど















































































