【年間12万件】なぜ「鍵の閉じ込み」発生する? 「スマートキーなのに…」 原因は複数あった!? 対策&対処の方法は?
年12万件以上もの「キー閉じ込み」救援依頼。便利なスマートキーが普及した今でも、なぜこれほど多くのトラブルが発生するのでしょうか? 特に子どもを車内に閉じ込めてしまう事故は命の危険にもつながります。その原因と対策、そして万が一の対処法を解説します。
スマートキーでも起こる子どもの車内閉じ込め事故 ~年間12万件の救援依頼が示す深刻な実態~
便利なスマートキー(電子キー)を搭載した車が増える中、依然として子どもが車内に閉じ込められるトラブルが後を絶ちません。
JAFの統計によると、2023年度には12万件以上のキー閉じ込み救援依頼があるといいます。
その中には命に関わる危険な状況も含まれているようです。

●スマートキーでも発生する閉じ込め事故の実態
過去に国民生活センターには、次のような深刻な相談が寄せられています。
「乗用車の助手席に電子キーを入れたカバンを置いたまま、車外に出てドアを閉めたところロックがかかり、チャイルドシートに座らせた子どもが車内に閉じ込められてしまいました」
また、より深刻なケースとして、「生後4カ月の子どもを座らせ荷物の中に電子キーを入れてドアを閉めたらロックがかかってしまった。周りの人が車に水をかけてくれ、救急車を呼び、窓を壊して救助してもらい何とか助かった」という事例も報告されています。
スマートキーは車内に置いたままクルマを降りようとすると警報音を発して知らせる機能がありますが、それでも閉じ込め事故は頻繁に発生しているのが現状です。
●なぜスマートキーでも閉じ込めが起こるのか
・電池切れによる意図しない施錠
エンジンが停止している状態で、電子キーの電池が切れた際にドアが施錠される場合があります。
また、車内にある電子キーのボタンがカバンの中で他の物と触れるなどして、何らかの理由で押されたときも、意図しない施錠が発生する可能性があります。
・検知システムの限界
キーが車内にあっても、インパネ上やドアポケット内など、場所によっては車外にあると検知されてドアがロックされ、キーの閉じ込めになるおそれもあります。
特に荷室については、キーを置いたままにしても警報音が鳴らない車種もあるため、注意が必要です。
・人為的なミス
JAFによると、スマートキーでの閉じ込めは利用者の「ヒューマンエラー」(人為的なミス)に起因することが多いとされています。
キーにある開閉ボタンでトランクリッドやリアゲートを開け、荷室内にキーを置いたまま閉めてしまうと、ドアは解錠されていないため、キーを閉じ込めてしまうことになります。
●電池切れ対策と日常の注意点
・定期的な電池交換の重要性
電子キーの電池は定期的に交換する必要があります。
ボタンを押しても作動しにくい、著しく作動可能距離が短くなるなどの現象が起きたら、電池が消耗している可能性があります。
多くの車種では、インパネ内の警告灯や警報音などで電池交換を促す機能がついているため、警告があったら必ず電池を交換しましょう。
自分で交換できない場合は、乗用車の取り扱いディーラーなどに依頼することをお勧めします。
・電子キーの適切な保管方法
電子キーを車の近くに置いたままにすると、電波を発信し続けて電子キーの電池や車のバッテリーが消耗する場合があります。
電子キーは車両から離れた場所に保管することが重要です。
・緊急時の解錠方法の確認
電子キーの電池切れの際のドアの解錠方法を、あらかじめ乗用車の取扱説明書で確認しておきましょう。
不明点は乗用車のメーカーや取り扱いディーラーに確認することをお勧めします。
●閉じ込めを防ぐための基本ルール
・「一緒に乗車、一緒に降車」の徹底
運転者と電子キーは「一緒に乗車、一緒に降車」が基本です。
人や荷物の乗降の際には、短時間であっても電子キーを持っているか必ず確認しましょう。
個人にできる最も有効な防止対策は、スマートキーを肌身離さず携帯することです。
ドアハンドルなどにあるボタンに触れることで施錠・解錠するタイプのスマートキーを使っている場合は、車外に出てからボタンを押して施錠する習慣を身につけることも大切です。
・スペアキーの携帯
スマートキーではないスペアキーをカバンや財布に入れて持ち歩くという対策も効果的です。
これにより、万が一の際にも対応できる備えを持つことができます。
●緊急時の対応方法
・子どもが閉じ込められた場合の対処法
夏場など気温の高い時期には、短時間の閉じ込めでも熱中症になる危険性があります。
まずは落ち着いて車内の子どもの状態をよく見極めることが重要です。
緊急性があると思われる場合には、ロードサービス等へ子どもが車内に残されていることを伝え、すみやかに救助を依頼しましょう。
●専門家への依頼の重要性
最近のクルマは盗難防止のための機構や装置を備えており、ドアの内部にはパワーウインドーなどの配線も内蔵されています。
そのため、無理にこじ開けようとすると別のトラブルを引き起こすことがあります。
誤ってスマートキーを閉じ込めてしまったときは、速やかにJAFなどの訓練や研修を受けたプロのロードサービス隊員に依頼することが安全で確実です。
●最終手段としての窓ガラス破損
子どもを救出する方法が他に何もなく、自分で窓を壊す場合は、フロントガラス(前側の窓)ではなくサイドガラス(ドア部分のガラス)を、金属や石など硬いもので勢いをつけて強く打撃します。
駐車場など周りにクルマがあれば、搭載されている自動車用緊急脱出ハンマーを借りて使用するとよいでしょう。
ビニール袋に硬貨(金属)や石を詰めて振り回し、スピードをつけてサイドガラスを打撃するという方法もあります。
ただし、サイドガラスを割ることは負傷等のおそれもあり非常に危険です。
最後の手段としてやむなく行う場合は、車内外にも十分に注意して行ってください。
●まとめ
スマートキーの普及により利便性は向上しましたが、技術的な進歩があっても人為的なミスによる閉じ込め事故は依然として多発しています。
年間12万件を超える救援依頼の実態は、この問題の深刻さを物語っています。
電子キーの電池を定期的に交換し、降車時には必ずキーの所在を確認する習慣を身につけることが、大切な家族を守る第一歩です。
万が一の事態が発生した際は、慌てずに専門のロードサービスに依頼することが、安全で確実な解決への道筋となります。
便利な技術を安全に活用するためには、その特性を正しく理解し、適切な使用方法を心がけることが何よりも重要なのです。
Writer: くるまのニュース編集部
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