日産「“新”コンパクトSUV」に大注目! 「リッター22.2km」の低燃費&全長4.4m級で「ちょうどイイサイズ」! ターボ×「新型e-POWER」搭載の俊足“欧州”モデル「キャシュカイ」日本導入に期待大!
欧州で絶大な人気を誇り、市場の歴史を変えたとまでいわれる日産のクロスオーバーSUV「キャシュカイ」。先進の「e-POWER」と日本の伝統美を取り入れたデザインで進化を遂げたこのクルマが、なぜ母国である日本では販売されないのでしょうか。
斬新“甲冑グリル”もカッコいい欧州クロスオーバーの「先駆者」とは
日産の欧州向けモデル「キャシュカイ」は、欧州市場の常識を覆した戦略的傑作です。
販売不振が伝えられる国内の日産において、カンフル剤としてこのモデルが販売される可能性はあるのでしょうか。

2007年の初代登場時には、Cセグメントのクロスオーバーという全く新しいジャンルを切り拓き、欧州で累計300万台以上を販売。2022年には英国で年間販売台数トップに輝くという、歴史的快挙を成し遂げたキャシュカイ。
2025年6月26日には、第3世代「e-POWER」を初搭載したモデルを追加したことを発表し、日本国内からも注目されました。
あらためて、キャシュカイの歴史について振り返ってみましょう。
実は初代(2006年~2013年)は、日本でも「デュアリス」の名で販売されました。
欧州で開発された上質な走りが特徴で、日本へは英国から逆輸入されるという点でも話題を呼びましたが、2代目(2013年~2021年)の登場時には、日産は日本国内のラインナップを「エクストレイル」(3代目・T32型)に統合する戦略的決断を下しました。
日本市場から姿を消したデュアリスは、この時点でグローバル市場、特に欧州を主戦場とするモデルであることが明確になったのです。
そして2021年に登場した現行の3代目は、キャシュカイをよりプレミアムな領域へと昇華させた意欲作です。
特に2024年の大幅なフェイスリフトでは、日本の甲冑の鱗から着想を得た緻密で立体的なフロントグリルを採用。日産のデザインに新たな方向性を示し、「小さな高級SUV」と呼ぶにふさわしい上質感をまとっています。
インテリアも豪華です。
上級グレードにはアルカンターラ素材や、キルティング加工が施されたプレミアムレザーを惜しみなく使用。12.3インチの大型デジタルメーターやセンターディスプレイが先進性を演出し、後席ドアが約85度まで大きく開くなど、実用性への配慮も万全です。
パワートレインの核となるのは、日産独自のシリーズ式ハイブリッド“e-POWER”です。
発電に徹する1.5リッターターボエンジンと駆動モーターを組み合わせ、電気自動車のようなスムーズで力強い走りを実現しています。
なお前述の通り、2025年6月にはさらなる進化を遂げた第3世代のe-POWERにアップデートされました。
このほか、欧州では1.3リッターのマイルドハイブリッド仕様も用意されています。
高速道路での運転を支援する「プロパイロット」は、カーブや制限速度に応じて車速を自動調整するナビリンク機能を搭載。さらに最新モデルでは「Googleビルトイン」のインフォテインメントシステムを採用し、スマートフォンのような直感的な操作性を実現しています。
では、これほどまでに商品力を高めたキャシュカイが、なぜ日本市場に再導入されないのでしょうか。
その背景には、日産社内で「カニバリゼーション(共食い)」への懸念が長らく存在していたと思われます。
キャシュカイは、Bセグメントの「キックス」とDセグメントのエクストレイルの中間に位置するため、両者の顧客を奪い合い、結果として日産全体の販売増につながらないという論理です。
しかしこの懸念は、現在の市場動向を的確に捉えているとはいえません。
トヨタはコンパクトクラスに「ライズ」「ヤリスクロス」「カローラクロス」、ミドルクラスに「RAV4」「ハリアー」といった近接サイズのSUVを多数展開しながら、それぞれが独自の顧客層を獲得し、共存を成功させています。
現在の日産のラインナップを見ると、最も競争が激しく需要も大きいCセグメントに、ぽっかりと穴が空いているのが実情です。
キャシュカイのサイズは全長4425mm×全幅1835mmで、キックスより一回り大きく、エクストレイルより明らかにコンパクト。まさにこの“空白地帯”を埋めるための最適な存在といえるでしょう。
キックスでは物足りないが、エクストレイルは大きすぎると感じる層にとって、キャシュカイの“ジャストサイズ”と、日本の伝統美をまとった洗練されたデザインは、他にはない強い魅力を持っています。
最新キャシュカイの日本再導入を阻む最大の壁は、市場や製品の問題ではなく、リスクを回避しようとする組織的な判断にあるのかもしれません。
かつて日本で親しまれた“デュアリス”の名を復活させ、この魅力的なグローバルSUVを再び日本市場に投入することは、日産が母国市場と真摯に向き合う姿勢を示す象徴的な一手になるはずです。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。










































































