頻発する「大型台風」&「ゲリラ豪雨」! 万が一の被害で「自動車保険」はどこまで補償できる? まさかの「請求ができない」ケースも!?

8月に入り、これから気になるのは台風やゲリラ豪雨の動向です。万が一の水害からクルマを守るためにも、自動車保険の補償について改めて確認してきましょう。

自動車保険の補償範囲はあらためてチェックを!

 最近の台風被害や線状降水帯による大雨被害は、これまでにない規模・範囲となっており、もはや全国どこに住んでいても十分な注意が必要となりました。

 クルマの被害には自動車保険(車両保険)が使えますが、万が一雨風による被害が起きても補償されないことがあるかもしれません。

万が一の被害で「自動車保険」は補償してくれるのか!?[イメージ画像:PhotoAC]
万が一の被害で「自動車保険」は補償してくれるのか!?[イメージ画像:PhotoAC]

 台風対策には自動車保険が必須級の装備になります。しかしながら、自然災害による被害は、損害の補填を難しくすることもあるのです。

 例えば風による飛来物の落下によるクルマの損傷。キズや凹み、ガラスの破損などを引き起こす飛来物で被害を受けた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

 人間心理としては、飛来物の持ち主を特定し、飛来物の所有者や管理者に対して、損害賠償請求したいところ。

 しかし民法717条によると、「土地工作物の設置または保存に瑕疵がある場合、その工作物の占有者は被害者に損害賠償しなければならない」と明記されています。

 つまりは瑕疵が無い限り、飛来物の所有者を見つけても損害賠償責任には問えないということです。

 ここでの瑕疵とは、家の屋根や設備が今にも落ちてきそうな状態や、風によって飛ぶことが予見できる状態を指します。これが立証できない限りは、損害賠償請求も棄却されてしまうのです。

 強風によるクルマの被害は、基本的に自分の自動車保険を使って自分で直す必要があります。これは大雨による洪水や浸水被害を受けた場合も同様です。台風被害の基本は、自分の保険で直すほかありません。

 なお風水害のどちらにおいても、クルマの被害を補填する場合には車両保険への加入が必要となります。

 車両保険にはフルカバータイプと言われる一般型と、エコノミータイプと言われる限定型がありますが、風水害によるクルマの被害では、どちらのタイプも補償対象です。

 ただし、強風による飛来物の落下でクルマが傷ついたり、洪水害でクルマが水没してしまったりした場合の修理では、自動車保険の翌年の等級が1等級ダウンします。

 また、「事故あり係数」と呼ばれる保険料割増期間が1年間ついてしまい、翌年の支払保険料が大幅に上がることを加味しなければなりません。

 小さな修理の場合、修理費用よりも保険料上昇が大きくなるというケースもあります。保険請求の前に、担当保険会社へ向こう3年間の保険料シミュレーションの依頼をすることを忘れないでください。

豪雨の際、無理に移動するのはかえって危険な場合も[イメージ画像:PIXTA]

 いずれにしても、車両保険の契約がなければ補償を受けることはできません。

 風水害は自分で気を付けていても被害を受ける可能性があるものです。もしもの時のために、車両保険のエコノミータイプにだけでも加入しておくと、予期せぬ風水害に備えることができます。

 また台風接近中の暴風雨で、クルマを運転して事故を起こした場合、一部の賠償保険が使用できない可能性があることも覚えておきたいところです。

 実例としては、台風による暴風雨でクルマが煽られて、クルマや建物にぶつかったケース。この場合、自動車保険の対物賠償保険が、適用対象外となることがあります。

 対象外となる理由は、クルマの運転操作に対して人的ミスが一切介在せず、台風のみが原因と判断された場合、他人のクルマに損害を与えても不可抗力とされ、そもそも法律上の損害賠償責任が発生しないためです。

 つまり逆の立場で考えると、台風時に風にあおられてぶつかってきたクルマに対して、損害賠償請求ができないケースがあるということ。この場合、相手方の対物賠償保険はもちろん使えません。

駐車場の立地が豪雨などに弱い場合、警報が発令されたら愛車は速やかに安全な場所へ移動したほうが良いかもしれません[イメージ画像:PIXTA]

※ ※ ※

 台風や線状降水帯がする状況では、自分のモノで誰かに被害が及ばないように気を付けるとともに、誰かの不手際で自分が被害を受けないようにすることも大切です。

 天気予報を確認しながら、あらかじめクルマを安全な場所へ避難させておくことや、洪水や暴風雨の際にはクルマの使用を控えるといった、人命最優先の行動も重要です。

 風水害がカバーできる自動車保険だからと安心してしまうと、後から痛い目をみることも。保険の補償範囲は、今からでも十二分に確認しておくことをおすすめします。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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