夏のカーエアコン「ガンガン」に冷やしたい! まさかの「注射」で復活させる方法がスゴい! ガス不足だけじゃない“冷房不調”の意外な原因とは?
猛暑でカーエアコンの効きが悪いと「エアコンガス補充」で改善すると思いがちですが、必ずしもガス不足が原因ではありません。配管の目詰まりが原因のケースもあるのですが、改善する方法はあるのでしょうか。
まさかの「注射」で復活させる方法がスゴい!
暑い夏にクルマに乗るとき、カーエアコンが欠かせません。
そんなカーエアコンの効きが悪くなると、「エアコンガス不足・ガス漏れ」が疑われますが、実は経年によるオイルの残留物によって、配管が目詰まりしている可能性も高いのです。

神奈川県の現役整備士H氏に聞いてみました。
「カーエアコンは、『冷媒』と呼ばれるエアコンガスをコンプレッサーで圧力をかけて、コンデンサーやエバポレーター内を循環させる過程で、高音高圧のガスや低温高圧の液状、低温低圧の霧状などに状態を変化させることで冷風を生み出しています。
もちろん経年による少量のガス漏れはあるのですが、むしろさまざまな部品を冷媒が循環する過程で、配管のなかにコンプレッサーで使用するオイルに不純物が混じって付着し、目詰まりを起こす『オイルファウリング』が起きている可能性が高いです」
走行でチリやホコリを含む外気を取り込んで熱処理を行うクルマの構造上、不純物が混入するのは避けられないのですが、そのため定期的なメンテナンスでガス漏れのチェックや、オイルファウリングの症状がひどくなる前に対処するのが得策です。
ではオイルファウリングが起きると、どのような症状が見られるのでしょうか。
「まずはエアコンの効きが悪くなったり風量が弱くなります。場合によってはカビや焦げ付いたような臭いや、異音がすることもあります。またいつもより燃費が悪化する傾向もあるようです。
エアコンの不具合がガスなのか目詰まりなのか、さらにはコンプレッサーや内部のエクスパンションバルブの不具合など、設備を持っていない一般の方では診断しにくいものです。
ディーラーや販売店、整備工場などに依頼すると早期にトラブルを発見でき、直すことができます」(H整備士)
また原因が配管の目詰まりだとしても、冷媒が通る配管は予想以上に細く、さまざまな角度に曲がっているため、ブラシなどを使用しての目詰まり解消は難しいとされています。
そこで使用されるのが専用の添加剤です。ガス漏れの箇所を確認するための添加剤もあるのですが、面白いのはその容器の形状で、見た目は注射器そのもの。まさにエアコンのために薬を注入しているようです。
「用途によって複数種あるのですが、1つ1つの配管を調べなくてもガス漏れ箇所を蛍光色に光らせてくれるもの、配管内の残留物を分解するもの、さらにはガス漏れ箇所を目詰まりすることなく補修してくれる添加剤もあります。
おかげで作業時間も短縮でき、確実に故障箇所を修復することができる優れモノです」(H整備士)
ちなみにこの添加剤はドイツ製で、取り扱いには専門知識が必要です。カー用品店では手に入らないかもしれないので、気になる人は整備工場などに相談してみるといいでしょう。
また、配管の目詰まりや漏れを修復しても、効き具合が悪かったりする場合は、エバポレーターに不具合が発生しているケースもあります。
「エバポレーターは、家庭用のエアコンで言えば、フィルターの奥にある細かい金属のフィンの部分で、熱交換という役割を担っています。
この装置内で霧状の冷媒を一気に気化させることで熱を奪って空気を冷やすのですが、その過程でどうしても結露が出やすいのです。
この結露にカビ菌が付着し増殖してしまうと、車内にカビ臭が広がってしまうのです」(H整備士)
こちらもエバポレーター専用の洗浄剤などを使用することで臭いを解消する方法がありますが、パーツがダッシュボード奥に配置されることも多く、作業には専門知識が必要です。
この作業もやはりプロにお願いしたほうが良さそうです。
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カーエアコンは、使用環境や経年によって不具合が出やすいものです。
エアコンガスの補充や目詰まりの解消など、症状が悪化する前にできるメンテナンスはいくつもあり、効きが悪いと感じたら、早めにディーラーや整備工場、カー用品店などに相談しましょう。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

















