「ガソリンが一気に安くなるのサイコー!」 25.1円も? 11月以降に!? 理由は「ガソリンの暫定税率」廃止!これまでの経緯は? 今後は?

ガソリン価格が11月から大幅ダウン! 1リットルあたり25.1円安くなる可能性も! ガソリン暫定税率廃止法案が臨時国会で議論へ。背景には与野党の合意や参議院選挙の影響が。ガソリン価格の値下げで家計は楽になる? 税収減の課題と今後の展望を解説!

〜11月以降に、ガソリンが一気に安くなる! ガソリン暫定税率に廃止の目処〜

 11月から、ガソリンが一気に安くなりそうです。

 その理由は、ガソリン暫定税率の廃止によるもの。

 与野党の国会対策委員長が7月30日に会談し、ガソリン税の暫定税率廃止法案について今後、改めて協議をして、8月1日に招集される予定の臨時国会に法案を提出して成立を目指すことで合意しました。

 法案では、今年11月1日でのガソリン税の暫定税率廃止を目指します。

〜11月以降に、ガソリンが一気に安くなる! ガソリン暫定税率に廃止の目処〜
〜11月以降に、ガソリンが一気に安くなる! ガソリン暫定税率に廃止の目処〜

 そもそも、ガゾリン税の暫定税率廃止については、自民党、公明党、そして国民民主党が昨年12月で廃止の方向で基本的に合意していましたが、その後に実施に向けた具体的な動きが出なかったため、国民民主党の玉木雄一郎代表は、自民党に対する不信感をメディア等を通じてあらわにしてきました。

 そうした中、野党7党はガソリン税の暫定材率廃止法案を6月に衆院本会議で野党側の算定多数で可決したのですが、その後の参院財政金融委員会で同法案は採決されませんでした。

 ところが、先の参議院選挙で自民党と公明党が議席の過半数割れとなったため、ガソリン税の暫定税率廃止法案が再び国会内に提出された場合、可決される可能性が出てきたのです。

 こうした状況を受けて、与党側が今後の国会運営を円滑に進めることなどを考慮して、
ガソリン税の暫定税率廃止法案に対する考え方で、野党側に歩み寄ったかたちです。

 では、仮に11月1日からガソリン税の暫定税率が廃止となった場合、ガソリン小売価格はいくらになるのでしょうか。

 ガソリン小売価格は、地域やガソリンスタンドによって差がありますが、国は全国を対象とした価格調査を毎週行っています。

 経済産業省 資源エネルギー庁が公表している直近データ(7月30日公表)では、レギュラーガソリン価格は1リットルあたり174円です。

 このうち、ガソリンにかかる燃料課税である、揮発油税や地方揮発油税が1リットルあたり53.8円かかっています。

 このうちの、25.1円が暫定税率分となります。

ついに「ガソリン税の暫定税率」が廃止される

 つまり、単純計算では、174.0−25.1=148.9円となります。

 ここ数年、170円〜200円の間にあったガソリン価格が、140円台になれば、ユーザーは「かなり安くなった」という印象を持つでしょう。

 米や食料品など、日常生活において物価高に悩まされている中、ユーザーにとっては喜ばしいことです。

 ただし、課題は税収の減少の影響です。

 6月の衆院本会議で、立憲国民党がガソリン税の暫定税率廃止分に伴う減収は、その時点で議論していた7月分からでは、国税と地方税を合わせて約8000億円との数字を示しています。

 この減収分は、政府与党が見込んでいる2024年度の税収上振れ分などで十分に対応が可能だという説明です。

参院選では「暫定税率廃止による地方財源の在り方」を投げかけていた石破総理(時事通信社)

 一方で、全国自治会は3月に、『いわゆる「ガソリンの暫定税率」廃止に関する議論等について』として、地方税の観点から見解を示しています。

 その中で、暫定税率に係る地方税収は、軽油引取税及び地方揮発油譲渡税で約5000億円と試算しています。財源の乏しい地方部ほど、これらの貴重な財源になっているといいます。

 その上で、今後は道路などの社会インフラの更新や老朽化対策、そして防災・減災事業に対する財政需要が一層増えることを見込み、いわゆるガゾリンの暫定税率の代替として、恒久的な財源の措置を考えるべきとしています。

 視点を少し変えますと、暫定税率はガソリンなどの燃料課税だけではなく、車体課税の中で自動車重量税にもかかっていることに気がつくでしょう。

 車体課税については、購入時にかかる自動車税の環境性能割と消費税、保有時にかかる自動車税(軽自動車税)と自動車重量税に対して、抜本的な改正を令和8年度(2026年4月1日)から行うことが、令和5年の税制改正大綱で明記されています。

 昨年12月にまとまった、令和7年度 税制改正大綱ではより詳しく、自動車に係る税のあり方を見直す方向性が示されています。

 自民党の執行部は、参議院選挙中の時点で、こうした自動車に係る税金の大枠の中でガソリン税の暫定税率廃止を議論する姿勢を示していましたが、選挙後の政治情勢の変化によって、ガソリン税の暫定成立廃止を経済政策として前倒しで行うことに合意したと言えるでしょう。

 いずれにしても、自動車に関連した様々な税金の体系が今、大きく変わろうとしてしていることは確かです。

 ユーザーとしては、日常生活における税金の負担と、税金の役割について、見つめ直す良い機会なのかもしれません。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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