夏のタイヤバースト危険! 「なんの前触れもなく、いきなり…」何が原因? トラブル回避の予防法を徹底解説!
夏のロングドライブで急増するタイヤバーストのリスク。低空気圧や過積載、路面温度の上昇が原因で、突然の事故につながることも。この記事では、タイヤバーストの原因と、キャンピングカーや乗用車での効果的な予防策を詳しく解説。安全なドライブのために今すぐチェック!
夏場に発生リスク高まる! キャンピングカーに限らない、低空気圧・過積載によるタイヤバースト
高速道路で走行中に突然、「ボン!」と破裂音。
大きな音がしたかと思うと、クルマが真っ直ぐ走らなくなる。
最悪の状況では、クルマが横転してしまうことも。
これは、タイヤのバーストが原因です。

夏場になると、タイヤバーストの危険性が高まる言われています。
ドライバーとしてはタイヤバーストに対する予防が大切です。
まずは、タイヤのバーストとは何か、また、なぜ起こるのかから見ていきましう。
タイヤのトラブルと言えば、パンク(パンクチャー)を連想する人が多いでしょう。
パンクの場合、路面上に落ちている釘など突起物がタイヤの表面に刺さり、空気圧が低くなります。
パンクは空気圧が徐々に下がるために、ドライバーとしては走行中に「なんだかクルマの動きがおかしいな」とパンク状態を実感することが少なくありません。
一方、バーストとはタイヤ本体が破裂する現象であり、クルマの挙動が一気におかしくなるのが特徴です。
バーストの前兆として、タイヤが焦げ臭くなるという情報もありますが、「なんの前触れもなく、いきなりきた!」という感想を漏らすドライバーが多いように思います。
前輪タイヤがバーストすればハンドルが効かなり車線を逸脱したり、また後輪がバーストすればスピンしてしまうリスクが生じます。
クルマが大きくバランスを崩せば、最悪の場合は横転してしまうことも考えられます。
事実、テレビやネットニュース、またSNSでタイヤバーストが原因で横転するなど、大規模な事故に結びついた事例が紹介されています。

では、タイヤのバーストはどうして起こるのでしょうか。
タイヤメーカーやJAF(日本自動車連盟)によれば、主な原因は「1.タイヤの空気圧が低いこと」、「2.タイヤの劣化」、「3.過積載」とされています。
まずタイヤの空気圧は、クルマのモデル毎に若干違います。
メーカーが推奨する適正値について、クルマのフロントドアを開けた状態で、車体側に表記が確認できます。
そうした適正値よりも低い状態で、高速で走行し続けると、タイヤ自体が波を打つように変形するスタンディングウェーブ現象が起こり、タイヤの内部構造が壊れることでバーストが起こることがあります。
次に、タイヤの劣化については、特にトラックなどの商用車で起こることがあります。
トラック事業者ではタイヤの車両点検を目視で行うことが基本であり、走行距離や使用年数だけではなく、タイヤの劣化状態を正しく判断することは難しいと言えます。
できれば、かなり余裕をもってタイヤを新品に交換することが求められます。
しかし、トラックやバスの事業者には事業規模に大きな差があるため、事業コストに対する考え方にも差があり、結果的にバーストが発生するリスクを高めている場合もあるでしょう。
そして、3つ目の過積載です。
一般的にはトラックなどの商用車での課題だと言われてきましたが、最近では乗用についてもキャンピングカーでの過積載が課題となっています。
実際、ある国内タイヤメーカーの開発者らと、キャンピングカー向けのタイヤについて意見交換した際、タイヤバーストが後を絶たないという声を聞きました。
低空気圧と過積載が原因だという認識です。
さらに、タイヤバーストの大きな要因が路面温度の上昇です。
気温が上がるにつれて道路の路面温度も上がりますが、そうした路面の熱がタイヤに伝わり、タイヤの表面温度も上昇します。
また、路面温度が上がると、タイヤが持つ熱を上手く放熱できなくなります。
路面温度が高いことが、タイヤバーストの最大要因とは言い切れません。
ただし、前述のような低空気圧、劣化、過積載などの条件が重なった状態で、なおかつ路面温度が高いとタイヤバーストのリスクが高まると言えるでしょう。
つまり、タイヤのバーストを予防するためには、こうした各種要因それぞれにドライバーが対応することが必要になります。

第一に、ドライバーがクルマを扱う上で基本中の基本である、定期的な空気圧チェックをしっかり行い、既定値を維持すること。
第二に、自動車ディーラーや修理工場での定期点検などの結果を踏まえて、タイヤの交換時期を意識すること。
第三に、過積載を避けること。
キャンピングカーはもとより、SUVやミニバンなど荷室やルーフキャリアに重量のあるキャンプグッズなどを積んでいる光景をよく見かけますが、乗車人数も踏まえて、過積載になっていないかを検証すること。
また、ジェットスキーや小型キャンパーなどを牽引する場合も、クルマ側の積載量も踏まえてタイヤへの負担を考えるべきです。
そして、夏場の路面温度上昇への対策としては、高速道路でこまめに休憩をとることも必要です。
ドライバーや乗員の肉体的・精神的な疲労に対してだけではなく、タイヤへの負担も考えた休憩を考えて頂きたいと思います。
連日猛暑が続く日本列島。
タイヤバーストのリスクが高まることを十分に理解した上で、楽しいロングドライブを。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。



















