「免許はあるけど無免許?」 “AT限定”でMT車を運転したら? 記載条件違うとなに違反? 元警察官が解説

当然ながらクルマやバイクなどを運転する際は、その車両に対応した運転免許を取得しなければなりません。ではMTの普通車を「AT車限定」の普通免許で運転した場合、どのような違反に当たるのでしょうか。

MT車を「AT限定免許」で運転したら何の交通違反になる?「無免許運転」にはならないってホント?

 車両を運転する際には、その車両に対応した運転免許を取得しなければなりません。

 ではMTの普通車を「AT車限定」の普通免許で運転した場合、どのような違反に当たるのでしょうか。

「普通車はAT車に限る」 MT車を運転するとどんな違反になる?
「普通車はAT車に限る」 MT車を運転するとどんな違反になる?

 内閣府が公表している「令和7年版交通安全白書」によると、2024年末現在の運転免許保有者数は約8174万人であり、運転免許が取得可能な16歳以上の人口に対する割合でみると、約75%もの人が何らかの運転免許を保有していることになります。

 当然ながらクルマやバイクなどを運転する際は、その車両に対応した運転免許を取得しなければなりません。

 たとえば2025年7月現在、車両総重量が3.5トン未満、最大積載量が2トン未満、乗車定員が10人以下の普通自動車を運転する場合は「普通免許」を取得する必要があります。

 また総排気量が400ccを超えるバイクの場合は「大型二輪免許」、125ccを超えて400cc以下のバイクは「普通二輪免許」、50ccを超えて125cc以下のバイクは「普通二輪免許(小型限定)」が必要であり、総排気量に応じて免許が細かく区分されています。

 さらに原付免許に関しては、これまで総排気量50cc以下の原付バイクのみ運転できる免許でしたが、2025年4月からはそれに加え、総排気量125cc以下で最高出力が4キロワット以下に制限されたバイク(いわゆる新基準原付)が運転できるようになりました。

 このように運転免許にはさまざまな種類があるため、自分が運転したい車両に合わせて必要な免許を選択することが重要です。

 仮に普通免許で大型トラックを運転するというように、自分が取得していない免許の車両を運転すると「無免許運転」に当たり、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科されるほか、違反点数25点で免許取り消し処分を受ける可能性があります。

 では、もし「AT車限定」の普通免許を保有する人がMTの普通自動車を運転したときは、無免許運転に当たるのでしょうか。

 結論から言うと、この場合は無免許運転ではなく「免許条件違反」という交通違反に該当します。

 免許条件違反は運転免許証の表面にある「免許の条件等」の欄に記載された条件を守らないで運転した場合に違反が成立し、具体例としては以下のようなものが挙げられます。

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 ●「眼鏡等」の条件があるにもかかわらず、眼鏡やコンタクトなどの視力矯正用具を使用しないで車両を運転したケース

 ●「中型車は中型車(8トン)に限る」との条件に従わず、「車両総重量8トン以上11トン未満」または「最大積載量5トン以上6.5トン未満」の中型自動車を運転したケース

 ●「普通車はAT車に限る」という条件の普通免許で、MTの普通自動車を運転したケース
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 無免許運転はそもそも運転が許可されていない車両を運転した場合に違反が成立するのに対し、免許条件違反は運転が許可されている車両であっても、運転する際の条件を満たしていなければ違反に当たるという違いがあります。

 このような事情から、免許条件違反は3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金と無免許運転に比べて軽い罰則が設けられています。

 加えて免許条件違反は、反則金を納付すれば刑事罰に問われないという交通反則通告制度(青切符の制度)の対象となる違反です。

 つまり青切符で検挙されると違反点数2点が加算されるものの、一定期間内に反則金を納付すればその後は刑事罰を受けることなく違反が処理されます。

 上記を踏まえると免許条件違反は無免許運転より軽い違反といえますが、視力矯正用具が必要なのに眼鏡やコンタクトをしないなど、免許条件違反の状態で運転をすれば大きな事故につながるおそれもあります。

 特に業務で社用車を運転するケースやレンタカーを借りて運転するケースなど、普段乗り慣れていない車両を使用する際には自分の保有する免許で運転可能かどうかをよく確認することが大切です。

※ ※ ※

 免許の条件は「AT車限定」のように広く知られているものから、「大型車は自衛隊用自動車に限る」といったマイナーなものまで多岐にわたります。

 警察では、レーシック手術で視力が回復して「眼鏡等」の条件を解除するといった手続きもできるため、免許の条件に変更があれば免許更新などに合わせて手続きをおこないましょう。

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Writer: くるまのニュース編集部

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