「リッター111km」も走れるVW「究極のエコカー」登場! 全長3.9mサイズに700kg台「軽量・クーペボディ」採用の「XL1」! 驚異の“1000万円超え”価格で落札 英国
フォルクスワーゲンが販売したリッター当たり100kmを超える超低燃費のクルマ「XL1」が、海外のオークションにかけられました。いったい、どのようなクルマなのでしょうか。
驚異のリッター111km! 実際に250台が販売された「XL1」
2025年6月1日、イギリスのオークションサイト「COLLECTING CARS」で、2015年式フォルクスワーゲン「XL1」のオークションが開催されました。
発売当時”究極のエコカー”だったこのクルマについて解説します。
![フォルクスワーゲン「XL1」[Photo:Collecting Cars/2025年6月1日に5万2345英ポンドで落札]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/06/20250627_vw_xl1_000.jpg?v=1751015497)
フォルクスワーゲンXL1は、2013年にフォルクスワーゲンが発表した2人乗りのプラグインハイブリッドカーです。
最大の特徴はその高い燃費性能で、数値は欧州値で0.9リッター/100km、つまり日本式の燃費表記に直すと1リッター当たり111kmという驚異的なものです。
XL1の源流は、2002年に発表されたコンセプトカーのフォルクスワーゲン「L1」というモデル。
当時はアメリカ政府が提唱した、3リッターの燃料で100kmを走破できる「3リッターカー」構想をはじめ、各国のメーカーがエコカー開発にしのぎを削っていた時期でした。
1999年に世界初の3リッターカー「ルポ3L TDI」を市販化したフォルクスワーゲンにとって、“1リッターカー”となるL1の計画は、3リッターカーを超える究極のエコカーを目指すプロジェクトでした。
L1は2009年、2代目となるコンセプトモデルに進化。さらに2011年にはリッター111kmを達成した「XL1」へと発展し、2013年には待望の量産型モデルの発売へとこぎつけたのです。
XL1のパワートレインは、0.8リッター2気筒ディーゼルターボエンジン(48ps)と、モーター(27ps)によるハイブリッドシステムに、7速DSG トランスミッションの組み合わせ。モーターだけでも35kmを走行することができます。
ボディサイズは全長3888mm×全幅1665mm×全高1153mmとコンパクト。空気抵抗低減のため全高は低く、ルーフが低くても乗り降りが容易になるよう、ドアには斜め前方に開閉する「ウイングドア」が採用されています。
また、全幅も狭く抑えるため、運転席と助手席は前後にオフセットして配置されています。
エクステリアも後輪をスパッツで覆い、バックミラーの代わりにバックカメラを採用するなど、空気抵抗を徹底的に低減。空気抵抗の大小を示すCd値は「0.186」と、非常に小さな数値をたたき出しています。
ボディ自体も、各部の材料にカーボン素材を積極的に採用し、車両重量を795kgと軽量に仕上げていました。
さまざまな“燃費スペシャル”ともいえる工夫により、リッター111kmの超低燃費を実現したXL1は、ドイツ国内で実際に250台が限定販売されました。
新車価格は11万1000ユーロ(約1824万円)と非常に高価だったものの、意外なことにエアコンやカーナビなどの快適装備は標準装備されており、普段使いにも十分耐えうる仕様となっていました。
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今回オークションに出品された2015年式XL1は、走行距離はわずか1888マイル(約3020km)。ホワイトのボディは非常にきれいで、インテリアも多少の使用感はありますが、距離の少なさを感じさせる「極上車」といえます。
定期点検もしっかり実施されていたようで、フォルクスワーゲンディーラーによる7枚のサービスレコードが残され、2024年1月の整備ではエンジンオイル、ブレーキフルード、エアフィルターなどの消耗品のほか、バッテリーも交換されています。
出品者の情報では、英国国内では28台のみが販売され、そのうちの1台だったということで、「コレクターズアイテムとして人気の高い現代的なハイブリッドカー」だといい、「きっと多くの人々の注目を集めることでしょう」とアピールしています。
この個体は、49件の激しい入札合戦の末に、5万2345英ポンド(当日レートで約1014万円)で落札となりました。
技術ショーケースとしての色合いが強かったXL1ですが、わずかな燃料でどこまでも走れるという性能は、スピードやパワーとはまた違ったロマンがあるものだといえるでしょう。
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