635馬力! 最強“大型SUV”「ディフェンダーOCTA」を試す! 2.5tボディなのに「軽量スポーツカー」のように振り回せる!? ブランド最高峰「ハイパフォーマンスモデル」の実力は【試乗記】
2.6トンなのに「軽量スポーツカー」のような楽しさ
まずはワインディングを中心としたオンロードでの試乗からスタートします。
乗り始めてすぐに実感したのは、乗り心地が良好なことです。

試乗コースの路面は荒れており、大小の段差やわだちになっている箇所もありましたが、ハイパフォーマンスモデル、そしてサスペンションストロークが大きなSUVとは思えないほどコンフォートな印象で、しっとりとした乗り味はまるで高級サルーンを思わせます。
2019年、ディフェンダーが現行モデルへとフルモデルチェンジした際に、信頼性の高いラダーフレームからモノコックボディへと変わったことに対し、当時は否定的な意見もありましたが、この乗り心地は堅固なラダーフレームでは実現できないと思います。
実際にモノコックボディの採用によってボディのねじり剛性は3倍以上高められています。
そして、剛性感のあるシャキッとしたステアリングフィールは、フロントタイヤからのインフォメーションがしっかりと感じ取れ、スポーティな雰囲気。
フラットな姿勢でロールも抑えられていて、ワインディングを走るのが楽しいと感じさせてくれます。冷静に考えて2.6トンを超えるSUVで「ワインディングが楽しい」と思わせてくれるのは驚くべきことです。
エンジンは600PSオーバーを感じさせないほど扱いやすく、トルクの出方が自然なフィーリングで、まるで大排気量の自然吸気エンジンを操っているかのようです。
おそらくですが、マイルドハイブリッドとの協調制御の恩恵もあるのでしょう。操りやすいパワーユニットで、回転が高まっていくのも楽しいと感じます。
そして、浅間サーキットでのオフロード試乗では、ハイペースなダートトライアルのようなシチュエーションを走行することが出来ました。
ここではオフロード最強モードといえる「オクタモード」をチョイス。DSCはトラックモードを選びました。
驚かされたのは、実にコントローラブルであることです。
かなりのハイスピードでありながら、オフロードを想像よりも余裕な雰囲気で駆け抜けることが出来るのにも驚かされましたが、軽量なスポーツカーを操っているかと思わせるほど、思い通りに「振り回す」ことが出来ました。
ステアリング操作とブレーキによる荷重移動で車体姿勢を造るのが自由自在で、スライドする動きになっても、カウンター操作をするべきタイミングが分かりやすく、トルクの出方がマイルドなパワーユニットは、スライドのコントロールがとてもしやすいです。
DSCトラックモードも優秀で、比較的スライドすることを許容してくれます。過剰な制御ではなく、ドライバーの操作に合わせて必要な分だけ制御を効かせていて、ダートで振り回す楽しさが残されている電子制御でした。
ダートでの試乗は、重たく大きく、背の高いSUVであることを忘れてしまうくらい、手の内に入る感覚があり、操るのが楽しいと感じる時間となりました。
オフロード、オンロード、コンフォート性能。まさに全方位性能の高いモデルであるディフェンダーオクタ。
残念ながら2025イヤーモデルはすぐに完売したそうですが、オクタは限定モデルとしてではなく今後のカタログ展開も予定しているとのこと。
このモデルがどれほどディフェンダーのブランド力を高めるか、そしてダカールラリーでその性能を証明するのか。すでに高い完成度にありますが、活躍が楽しみな1台です。
Writer: 西川昇吾
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。





















































