昔よく言われた「1馬力=1万円」は本当? 車の1馬力当たりの金額を検証してみた
軽のターボモデルは1馬力がマクドナルドのセット価格並?
一方、今日では、ハイブリッドが加わったこともあってエンジンの種類を減らす方向にあります。その意味で注目されるのは、CX-5などのマツダ車です。
CX-5に2リッターガソリンエンジンを積んだ2WDの「20S プロアクティブ」は、価格が268万9200円で最高出力は156馬力。2.5リッターガソリンエンジンの「4WD・25S プロアクティブ」は、価格が291万6000円で最高出力は188馬力。つまり「500cc/32馬力+4WD」の価格が22万6800円になる計算です。
次はディーゼルで同様の計算を行ってみます。2.2リッターディーゼルを搭載する「2WD・XDプロアクティブ」は最高出力が190馬力で300万2400円。同じエンジンの「4WD・XDプロアクティブ」は322万9200円。4WDの価格差だけで22万6800円になります。
つまりガソリンエンジン車で4WDを選ぶと、2WDとの価格差はディーゼルと同じなのに「500cc/32馬力」がオマケで手に入るのです。「1馬力=1万円」とすれば、CX-5(ほかのマツダ車も同じ)のガソリン車で2.5リッターの4WDを選ぶと、2リッターの2WDに比べて32万円トクするわけです。
これは特殊な例ですが、軽自動車のターボモデルも比較的安いです。特に注目されるのは日産デイズ。「ハイウェイスターG」の価格は148万5000円で、最高出力は49馬力。「ハイウェイスターGターボ」の価格は149万5800円で、最高出力は64馬力になります。価格差は1万800円で最高出力の差は15馬力ですから、1馬力は720円となります。マクドナルドのバリューセットと同等の金額で1馬力が買える計算です。
一般的な車種ではスバル「インプレッサスポーツ」が挙げられます。「1.6i-Lアイサイト」は価格が194万4000円で、最高出力は115馬力。「2.0i-Lアイサイト」は価格が218万1600円で、最高出力は154馬力。価格差が23万7600円で、最高出力の差が39馬力だから、1馬力は6092円になる。
このように1馬力が1万円に達する車種は、今の日本車にはほとんど存在しません(高性能エンジン車の装備が大幅に充実する場合を除く)。1馬力の相場は5000円から6000円と考えていれば問題ないです。その意味ではR34型スカイラインなどの馬力レートが、20年後の今でも続いているわけです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。