日産の「ちいさな高級車」がケタ違いにスゴかった! 豪華すぎる後席はまさかの「1人乗り」!? もはや“軽リムジン”な「ルークス“スイート”コンセプト」とは
2023年1月に開催された「東京オートサロン2023」に日産が出展した「ルークス スイート コンセプト」は、ファーストクラスのような超豪華な後席シートで注目されました。その狙いについて改めて検証します。
超豪華! ファーストクラスのような後席シートに驚く!
2023年1月に開催された「東京オートサロン2023」に日産が出展した「ルークス スイート コンセプト」。
ファーストクラスのような超豪華な後席シートが話題となりましたが、日産の狙いはどこにあったのでしょうか。

ルークス スイート コンセプトは、その名の通り軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がベースです。
もともと広い室内空間をさらに拡大し、後方には電子ピアノを搭載した専用トレーラーを連結するという6輪車です。
ドアの数は運転席側にひとつと、助手席には後席ドアを連結した大きなドアが一枚。カモメの翼のように、地面に対して垂直に開くガルウイングドアを採用していました。
ボディカラーは、上半分は艶ありブラック、下半分は艶消しのマットブラックを基調にゴージャスなゴールドのラインがあしらわれ、どこかフォーマルで格式の高い印象があります。
これは、男性用のタキシードをイメージしたカラーリングだそうです。
インテリアは、落ち着いた色味のアイボリーで統一されており、運転席シートに加え、後席には超豪華なオットマン付きキャプテンシートが備わる、変則的な「2シーター」レイアウトです。
助手席シートが取り払われたスペースには、追加のフットレストも用意されており、足を伸ばして寝そべることもできます。
広いルークスの後席を最大限活用したことで、後席スペースは非常に広大に見えます。
後席空間はまた、音や視界を徹底的に遮断する仕掛けが投入されているため、完全なるプライベート空間。
後席シートの頭の周りを繭のように囲んだメッシュ状の素材には、日産が開発中としていた超軽量の遮音材「音響メタマテリアル」を採用することで、外からの音も大幅に遮断。
後席ウィンドウも、普段は透明のウィンドウですが、スイッチを切り替えるとすりガラスのようになる「電子シェード」を採用しています。
スリガラス調になる特殊ガラスは、ハリアーのルーフガラス(調光パノラマルーフ)などにも採用されていますが、ルークスのような軽スーパーハイトワゴンの後席サイドウィンドウに使えれば、子どもを車内で着替えさせるときなどにも便利かもしれません。
日産は、このルークス スイート コンセプトについて、「娘の結婚式へ夫婦で向かうシーンをイメージしている」としており、車両後方に連結したトレーラーにある電子ピアノは、父から娘へのサプライズとしてウェディング会場で弾くためのものだとしています。
家族の新たな門出を祝福するため、至高の時間を演出する1台だといい、東京オートサロン2023開催時にはそのシーンを映像化して流していました。日産の公式YouTubeでも公開されていましたが、残念ながら今はもう観ることができないようです。
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まさに、先進技術とアイデアがつまったコンセプトカーのルークス スイート コンセプト。
一見すると奇抜さだけが目立ってしまいますが、軽サイズの「小さな高級車」という発想自体は十分にアリだと筆者(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)は考えます。
日産は2025年3月に「新商品と新技術の投入計画」を発表しており、2025年度中に国内で新型軽自動車を発売すると明らかにしています。
これが次期ルークスだといわれていますが、ルークス スイート コンセプトで魅せてくれた高級仕様のアイデアが投入されるのか、大いに期待したいところです。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど


















































