仮眠トラック“違法駐車”を一斉取り締まり! 騒音・混雑に苦しむ住民に「待機場所を用意すべき」「ドライバーのせいじゃない」の声も!? 根本は「ドライバーの負荷増大」ではないのか
大阪市内の幹線道路で、違法駐車のトラック複数台に対し、一斉取り締まりが行われました。SNSでも波紋を呼んでいます。
「ドライバーだけが悪いわけではない」「待機場所を用意すべき」意見も
大阪府警は2025年4月28日、大阪市鶴見区内の幹線道路において違法に駐車をしているトラックの一斉取り締まりを行いました。
SNSではこの取り締まりに関して、さまざまな意見が寄せられています。

取り締まりが行われたのは、大阪市鶴見区にある緑地公園の市道(通称・花博通)です。
花博通は近畿道・第二京阪などを接続する門真JCTから国道479号 内環状線までをつなぐ片側2車線の広い道路で、大阪市内中心部への東西軸を担っています。
また付近には住宅街や小中学校もあり、鶴見区内の生活道路としても機能しています。
こうしたアクセスの良さなどから、夜間は大型トラックのドライバーが、荷下ろし先の始業時間まで仮眠をとるために路上駐車をすることが常態化しており、1車線を丸々塞ぐように駐車されているケースも珍しくありません。
駐車が多いときには、緑地公園の南側から門真JCT付近まで、約1キロにわたって路上駐車が続くこともあるようです。
そのため、近隣住民から大阪府警に対し、「道路の見通しが悪くなって走りにくい」、「(停車中の)エンジン音がうるさい」といった苦情が寄せられていたといいます。
また花博通の一帯は、すべて駐車禁止の交通規制がされており、本来は車両を駐車してはいけません。このような状況もあり、今回路上駐車の一斉取り締まりが実施されるに至りました。
ここで駐車の定義について確認してみます。駐車とは法令上、次のような状態のことをいいます。
「車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)
又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態」(愛知県警ホームページより一部抜粋)
つまり、車内に人がいようがいまいが、基本的にはクルマが継続的に停まっていれば「駐車」に当たり、当然トラックの中でドライバーが仮眠、待機している場合なども駐車違反の対象となります。
28日の一斉取り締まりにおいては、約20台のトラックに対し警告が出されたほか、4台のドライバーに交通反則切符が交付されたということです。
しかし、一連の取り締まりについてはトラックドライバーの当事者や同様な問題で悩んでいる住民をはじめ、さまざまな意見が寄せられ、波紋を呼んでいます。
さらに、「取り締まりが続いたらドライバーのなり手がいなくなる」、「ドライバーを取り締まるより先に荷主を取り締まった方がいい」、「ドライバーだけが悪いわけではない」などの声が多く寄せられました。
トラックドライバーを取り巻く労働環境は非常に厳しく、国土交通省のデータでは労働時間が全職業の平均より約2倍長いことが明らかになっています。
この長時間労働の要因のひとつとして、荷待ち時間や待機時間、荷役時間が長いこともありますが、時間に追われてトラックで休憩せざるを得ないなか、車内で待機できる場所が少ない実情も、路上駐車が減らないことにつながっているのです。
この問題に関しては、「大型トラックを駐車する場所が少なすぎる。トラックターミナルはいつもいっぱい」という声や、「荷主側がきちんとトラックの待機場所を用意すべき」「トラック協会が土地買って駐車場作れよ」など、ドライバーによるリアルな意見も聞かれました。
いっぽう、「住民側の言い分もよく分かる。アイドリング、排気ガス、ポイ捨てなど周辺環境の悪化は予測できる」「ゴミやタバコの吸い殻、靴下や軍手なども捨てられている」「違法行為も仕方ないとするドライバーは問題」など、一部の悪質トラックドライバーの行為が、こうした苦情につながっているのではないかいう見方もあるようです。
※ ※ ※
今回の取り締まりも、結局のところ物流事業者の出荷やトラックの受け入れ体制の整備不足が一端です。今後は、こうしたドライバーのための環境作りに加え、荷役作業の効率化を図るなど、荷待ち・待機時間を削減することも求められます。
さらにいえば、トラックドライバーに大きな責任がのしかかる現状の構造を、社会全体で改善していく必要があるといえるでしょう。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。



































































