走りのイメージ「赤色メーター」激減 エコイメージの近年は何色が多い?
赤いメーターのデメリットとは?
しかし、赤いメーターにはデメリットもあります。それはクルマの異常を示す警告灯などが目立ちにくくなること。車両故障などを示す警告灯は目立つように赤く光るものもある(危険な警告は「赤」と国際規格で決められている)のですが、メーターそのものに赤が使われていると相対的に目立たなくなってしまうのです。
さらにいえば、赤は刺激を感じさせる色なので、特に夜間などは目の覚醒を促して疲れやすくなる可能性も否定できません(この対極にあるのが、かつてボルボやサーブに備わっていた、最小限のメーター以外はインパネの照明を消して夜のドライブで疲れにくくする機能です)。
見方を変えれば、そんなデメリットがあるからこそ多くのクルマに広まることがなく、特別なイメージを演出できるのが「赤」というメーター色と言えるのかもしりません。
従来よく照明色として使われることが多かったのはアンバーでした。その理由は二つあります。
ひとつは電球色そのままなので構造がシンプルでコストがかからなかったこと。もうひとつは目に優しくて疲れにくい色だったからです。また、赤の警告灯が光ったときに目立つのもメリットといえるかもしれません。
また近年、従来は用意されなかったブルーやグリーンといったメーター照明も見かけるようになりました。これはエコをイメージした演出で、ハイブリッドカーや走行モードを「ECO」に切り替えた時に変化するメーター色としても使われることが多いです。
スポーツモデルがひと昔前に比べるとかなり減った今、赤色メーターの採用モデルも非常に減っています。今後は色を自由に設定できるフル液晶メーターも採用車種が増えつつあり、メーターの照明色の独自性は薄まる傾向にあります。しかし、メーターの色でクルマのキャラクターを示す遊び心は、失ってほしくない気もします。
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Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。