なぜ新車の人気は背高クルマに集中? 高齢化社会も原因?
後方の眩しさを防ぐアイテムも人気
後方の眩しさを防ぐことの大切さは、カー用品店からも聞かれます。
「純正ミラーに被せるだけで後方視界がワイドになるルームミラーも扱っていますが、今は防眩タイプが常識になりました。眩しさを最大で50%くらいカットできる商品もあり、人気を高めています。また紫外線を遮るタイプも増えています」とのことです。
背の高いクルマが増えた一番の理由は、同程度のボディサイズでも、広い室内空間が得られることです。その一方で、「周囲のクルマに埋もれたり、夜の運転で眩しい思いをしないために、自分のクルマも背を高くする」という、増え続ける背の高いクルマに向けた対抗手段の意味もあるのでしょう。
こういった考えが増えることは仕方のないことではありますが、背の高いボディでは車両重量と空気抵抗が大きくなりますから、燃料の消費量も増えます。同時に走行安定性、加速性能、乗り心地といったクルマの機能を低下させやすいです。
さらに遠方が良く見える半面、ボディの左側面や真後ろの死角が広がるため、歩行者の巻き込み事故などを発生させる危険も高まります。
背の高いクルマを運転される皆さんは、どうか背の低い周囲のクルマや歩行者に優しい運転を心掛けていただきたいと思います。背が高いだけで、周囲の人達は、怖い存在に感じたりするものなのです。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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