全長約3.9m! トヨタの「ミッドシップ4WD」搭載した斬新スポーツカーがスゴかった! 小さいのに“4人乗り”!? 画期的システム採用の「CS&S」どんなモデル?
トヨタが2003年のモーターショーに出展したコンセプトカーCS&Sは、未来を予感させるスポーツカーでした。いったいどんなクルマだったのでしょうか。
トヨタが手掛けた「ミッドシップ4WDのハイブリッドスポーツ」とは?
トヨタは2003年9月に開催された「フランクフルトモーターショー」および同年10月に開催された「東京モーターショー」に、「CS&S」というコンセプトカーを出展しました。
同車は欧州市場向け製品デザインの将来指針として、ヨーロッパ・デザインスタジオの「ED2(イーディースクエア)」が手掛けた小ぶりなオープンスポーツ。
車名のCS&Sは、「コンパクトスポーツ(Compact Sport)&スペシャリティ(Specialty)」の略です。

ボディサイズは全長3940mm×全幅1800mm×全高1120mmと短く、幅広く、そして低いというスポーティなプロポーション。幾何学的なフォルムに日本的な「カッコよさ」を散りばめているのがデザインの特徴です。
一見すると2シーターですが、フロントシート背後のキャノピーを後方へスライドさせると後部座席が現れ、2+2シーターへと変身。
また、フロントシートバックは前に倒せばインパネなどを覆うセキュリティカバーになるという、ユニークなアイデアのギミックを搭載していました。
ただ、単なるコンセプトカーで終わらないのがトヨタのスゴいところ。パワートレーンは1.5リッターのガソリンエンジンとモーターの組み合わせで、同年に発売された2代目「プリウス」と同じハイブリッドシステム「THS-II」を搭載していたのです。
ただ、プリウスがエンジンもモーターもフロントに搭載され前輪を駆動するFFレイアウトなのに対し、CS&Sは運転席後方に搭載するミッドシップレイアウトを採用。
さらに、エンジンとモーターで後輪を駆動するだけでなく、前輪もモーターで駆動する電気式4WD(E-Four)とすることで環境性能と運動性能を高次元で両立しました。
一方、インテリアで目新しいアイデアだったのは、空中に浮かぶように表示される球体にタッチしてオーディオやナビ、空調などを操作する「トヨタスペースタッチ」です。
「ミッドシップ×4WD」という本格派スポーツかつ経済性の高いハイブリッドで、なおかつ斬新なホログラフィを活用したインターフェイスを採用するなど、先進的なコンセプトカーだったと言えるでしょう。
CS&Sについて、発表当時にトヨタディーラーに勤めていたTさんは、当時を回想してくれました。
「2003年といえば、日産『スカイラインGT-R』やマツダ『RX-7』といったスポーツカーが生産終了になった時期だったので、トヨタの新しいスポーツカーというだけで大きな反響がありました。
ただ、当時はまだハイブリッドに懐疑的なお客様も多く、『なんだ、ハイブリッドなのか…』というご意見を頂戴した記憶があります。
ハイブリッドが市民権を得たのは、同年に発売された2代目プリウスがヒットしてからでしたので」
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反響はあったものの市販には至らなかったCS&Sですが、残念ながら、そのコンセプトを受け継いだモデルと思われるハイブリッドのミッドシップスポーツカーは、いまだトヨタからは市販されていません。
しかし、2005年にTHS-IIのE-Fourを採用した「ハリアーハイブリッド」が発売されるなど、ボディ形状やクラス、エンジン搭載位置や基本となる駆動輪は異なるものの、CS&Sの革新的な技術の一部が市販車にフィードバックされています。
また、トヨタは「東京オートサロン2010」で「GRMN SPORTS HYBRID Concept」を発表。
これは「MR-S」をベースとした2シーターオープンのミッドシップスポーツで、ハイブリッドユニットを搭載する4WDとして登場しており、CS&Sの再来とでもいうべきコンセプトカーでした。
残念ながらこちらも量産化はされませんでしたが、近年「GR」の名の下にスポーツモデルに力を入れているトヨタだけに、CS&Sからの流れを汲むハイブリッドのミッドシップスポーツの登場を少なからず期待してしまいます。
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