日産がかつて披露したコンセプトカー「IDx」は、「次期型シルビアか」とも期待された注目モデルです。
　
　登場から10年以上が経過した今、SNSなどでふたたび盛り上がりを見せています。

【画像】超カッコイイ！ これが「シルビア後継機!?」なコンセプトです！ 画像で見る（44枚）

　国内外で開催されるモーターショーでは、発売予定のニューモデル以外にも、新時代の到来を予感させるコンセプトカーが披露されます。現実味が薄いものの、非常に興味をそそるスポーツモデルもあり、そのたびに市販化への期待が高まります。

　その代表例といえるのが、2013年に日産が公開した「IDx（アイディー・エックス）」です。

　2013年11月に開幕の第43回「東京モーターショー」で披露され、今でもたびたび話題になっています。

　IDxは小型スポーツカーのコンセプトカーシリーズで、2台のモデルから成り立っています。いずれもノッチバックの2ドアクーペで、駆動方式はFRを採用し、デザインはかつての「ブルーバード」（3代目）などの厩舎を想起させるレトロなスタイリングです。

　開発のプロセスには、想像力豊かな「ジェネレーションZ（いわゆるZ世代・1990年代以降に生まれた若年層）」が積極的に参画する「コ・クリエーション（共同創造）」を取り入れ、新たな価値観を商品開発に反映させたといいます。

　この若者世代が今乗りたいクルマの姿をそのまま具現化しており、2台ともにそれぞれ違った個性を持っています。

　スポーツタイプの「IDx NISMO」は、コ・クリエーションプロセスのなかで、かつて日産が開発した数多くのレーシングカーのスタイリングを昇華させたモデル。

　ボディサイズは全長約4100mm×全高約1300mm×全幅約1800mmです。

　エクステリアには、スポーティな逆スラントノーズやカーボン素材の風合いを生かしたパネル、サイド出しマフラー、大型スポイラー、19インチの大径ホイールなど、レーシングカーらしい存在感とレトロ感に、現代のデザインが融合。

　インテリアは、水平基調のインパネや3本スポークのスポーツステアリング、アナログ時計をアレンジしたセンターモニターなどを採用。スポーツ走行の気分を高揚させるものとなっています。

　シートには赤のアルカンターラを採用し、ドアトリムやセンターコンソールなどにもレッドのアクセントカラーを施しました。

　パワートレインは、高性能な1.6リッター直噴ターボエンジンに、シンクロレブコントロールによるスポーティな走りが楽しめる6速マニュアルモード付CVTを組み合わせていますが、詳細スペックは不明でした。

　そしてもう1台の「IDx フリーフロー」は、若者の個性を主張するファッショナブルなモデルというキャラクターです。

　内外装はIDx NISMOとは異なり、シンプルかつクリーンに仕上げられました。デニム素材シートやウッドステアリング、生成り色のボディカラーを採用するなど、休日を楽しむおしゃれクーペといった雰囲気が感じられます。

　2台とも違ったキャラクターですが、若者のライフスタイルに見事にマッチする新しいクルマということもあり、注目を集めたのです。

　特にIDx NISMOは若者向きの小型スポーツカーということで、1990年台に大ヒットしたFRスポーツカー「シルビア」になぞらえて、「シルビアの復活」として非常に大きな話題となりました。

　IDxの公開から10年以上が経ちましたが、日産からIDxの市販化モデルや同じコンセプトを持つスポーツカーなどは一切登場しておらず、現在のところそうした素振りもありません。

　2025年8月には、日産を代表するスーパースポーツ「GT-R」の生産終了が予定されているほか、さまざまな面において非常に苦しい立場に立たされている日産ですが、こうした状況もあってか、SNSなどではふたたび注目されています。

　特に、「今こそ市販化してほしい」「経営がいい方向に向かえばこういうクルマが出てくる可能性もあるかな」「技術の日産が復活するならシルビアもぜひお願いします」と、苦境のなかでこそ、日産の復権をものがたるモデルとして期待したいという人が多いようです。

　経営陣の刷新も行われ、今早急な経営改善が求められる現在の日産ですが、こうした流れの中でIDxやシルビアのような、ワクワクさせるクルマの登場を期待したいところです。