ある日突然「国道が消滅」することがある!? 使い慣れた道路が「県道」に…一体なぜなのか 地元には「思わぬメリット」も!? 背景は?
国道が県道に「落ちる」ことで何が変わる?
では、地元にとって国道が県道になることは、どういうメリット・デメリットがあるのでしょうか。

国道は国の予算で管理する「指定区間」と県市の予算で管理する「指定区間外」があり、指定区間であれば、急に自分の予算で旧国道を管理することになるため、負担が増えます。とはいえ、指定区間がいきなり県道へ落ちるケースは多くありません。
いっぽう指定区間外であればもともと自分たちが管理してきたので、予算面で大きな変化は無いでしょう。
逆に、国道から県市道になることで、地元にとっては拡幅など改築事業の裁量権が得られることとなり、自由度が増します。さらに維持補修への国の補助金割合も高くなります。
さらに、国道ではなくなることで、地図上でも「長距離ネットワークっぽさ」が無くなり、長距離ドライバーがルート選択しなくなるという心理的影響があり、交通量減少する期待もあります。
どちらにせよ、国からすれば「バイパス整備のおかげで渋滞も事故も減る。あなたの県市のためにもなるのだから、恩恵を享受するために、地元の生活道路は自分で管理しなさい」という理屈になります。
そのため多くの場合、バイパスの計画段階で、地元の県市とのあいだで「バイパスが完成したら、地元で引き取ってくださいね」という協議を詰めておくこととなります。
変わった事例として、大阪府を南北につなぐ「国道170号」は、昭和時代からバイパスが開通しているのにも関わらず、並行する狭い旧道は国道のままです。先述の協議のうえで、何らかの政治的駆け引きがあったのかもしれません。もちろんバイパスも旧道も指定区間外なので、管理自体はもともと大阪府が担当しています。
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直近の例だと、2025年3月8日に、愛知~静岡をつなぐ高規格道路「名豊道路」が悲願の全通を果たしました。
これによって国道23号の役割は完全にこの名豊道路が担うこととなり、現道は役割を終えた形です。
そこで国は3月11日の閣議決定で、幸田町から豊橋市までの23kmについて、国道23号をまるごと県道へ移管することとしました。4月1日から、ずっと国道23号だった道路は、県道に変わります。
なおこの区間の国道23号はもともと「指定区間外」だったので、愛知県の予算で管理することには変わりありません。標識を国道から県道のものに変えたりする程度になります。
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