なぜ3月は「車検」が混雑する? 「予約がいっぱいで難しいです」断られるケースも… 「整備士」の残業増加で社会問題にも発展 年度末に“一極集中” 今後は解消も期待

3月は例年、車検が非常に混む時期です。一体なぜなのでしょうか。

3月は「車検」が大混雑 なぜ?

 クルマを所有する上で、避けて通ることができない「車検」。軽自動車や普通車であれば2年ごと、商用車などでは1年ごと(いずれも新車時は除く)に実施しなければならないもので、費用がかかるのはもちろんツライところ。
 
 そして、ディーラーや整備工場などへの入庫の段取りをしなければならないというのも、なかなかに面倒くさいものです。

車検場(画像:PIXTA)。
車検場(画像:PIXTA)。

 そんな車検ですが、3月は特に車検を実施するクルマが多いとされています。

 国土交通省の資料によると、2019年から2023年までの5年間における平均の月別車検台数では、3月は約389万台。

 ほかの月では多くても300万台に満たず、平均では約281万台なのに対して、3月は飛び抜けて多いことがわかります。

 そのため、ディーラーや整備工場で入庫予約を取るのも一苦労で、早めに動かないと入庫できるタイミングよりも先に車検が満了してしまう(車検が切れてしまう)という悲劇も起こりかねません。

 しかし、なぜそもそも3月に車検を実施するクルマが多くなるのでしょうか。

 なお、執筆時点(2025年2月)では継続検査は「満了日の1か月前」から実施することができるので、3月に車検を実施するクルマというのは3月、もしくは4月に車検が満了、つまり「3月から4月にかけて登録された車両」がほとんどということになります。

 実はこれが、車検が3月に混み合う理由のひとつなのです。

 自動車ディーラーというのは、決算のタイミングでセールを実施することが多く、3月は多くのディーラーが決算月ということで、ひときわ販売に力を入れる時期ということになります。

 となると決算セールの特別価格の目玉車両や、値引きやオプションサービスなど、普段はなかなか実現しない好条件が出ることも多く、ユーザーも決算のタイミングを狙ってクルマの乗り換えを検討する人が多くなります。

 必然的に、3月から4月に登録される車両が多くなるというワケです。

 また4月から新生活を始める人が多いタイミングということで、就職や引っ越しなどの生活環境の変化でクルマが必要になったことで中古車を購入し、新たに車検を取得して乗り出すユーザーも増加。

 こうしたことが重なって、より一層3月に車検が満了となる車両が増えるという側面もあるでしょう。

 しかし、いずれにしても3月に車検が満了する車両が多いという事実は変わりません。

 ディーラーや修理工場はもちろん、車検を実施する陸運支局の混雑もひどく、整備士の負担も集中してしまうことが社会問題となりつつあるレベルとなっているのが現状です。

 そのため、国土交通省では2025年4月1日から、「車検満了日の2か月前」から継続検査を受けることができるようにすることを発表しました。

 これにより、余裕を持って車検を受けることができるようになり、3月に一極集中するケースの分散が期待できるようになりそうです。

 なお、施行は2025年4月1日なので、今年の3月から4月にかけて車検が満了する車両は対象外となってしまうのは残念ですが、次回からは余裕を持って入庫予約ができるようになることでしょう。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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1件のコメント

  1. 新車が1年で一番売れる時期は、2.3月です。理由は高校卒業、大学卒業し就職するからです。

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