20年前のホンダ「“和製”スーパーカー」が3000万円超え! 鮮烈オレンジ×「オープン仕様」で超カッコいい! 希少「NSX-T」超高額の理由とは
2025年1月、アメリカの自動車オークションサイトで初代ホンダ「アキュラNSX-T」が20万1000ドル(落札時レートで約3173万円)で落札されました。どのような点が評価されたのでしょうか。
希少オープンモデルの走行距離は約1万4000キロ!
2025年1月、アメリカのオークションサイト「Bring a Trailer」で、1台の初代ホンダ「アキュラNSX-T」(日本名:ホンダ「NSX Tタイプ)に約3173万円のプライスが付きました。
いったいどのような個体なのでしょうか。
![希少な「イモラオレンジパール」もまぶしい! 日本を代表する「スーパーカー」が高額落札![Photo:Bring a Trailer/Sellar:PrivateCollectionMotors]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/03/20250303_HONDA_ACURA_NSX-T_001.jpg?v=1740996793)
NSXは、1990年にホンダが発売した高級スポーツカーです。
エンジンを車体中央にレイアウトする「ミッドシップ」方式を採用しており、イタリアの「フェラーリ」やドイツの「ポルシェ」といった世界の一流ブランドのモデルと肩を並べるスーパースポーツカーとして開発されました。
NSX発売前夜の1980年代、ホンダは日本のみならず海外で躍進していました。
アメリカ市場では「シビック」「アコード」などがインテリ層を中心に大ブレイク。さらに、自動車レースの最高峰「F1世界選手権」には様々な有力チームにエンジンを供給して、多数の勝利を挙げました。
そんななか開発されたNSXは、ホンダの技術の粋を集めたモデルとなっていました。
エンジンは、ホンダ自慢の可変バルブタイミング機構「VTEC」を採用した3リッターV型6気筒DOHCの「C30A型」を搭載。自然吸気エンジンらしい鋭いレスポンスと、当時の国内自主規制いっぱいの最高出力280ps(MT車)を両立しました。
また、ボディは市販車では世界初の「オールアルミモノコックボディ」でした。
高度なボディ構造を成立させるため、走行テストはドイツの難コース「ニュルブルクリンク」サーキットで入念に行われました。
結果、NSXのボディは1350kg(MT車)と軽量ながら、高い剛性を確保。さらに、テールエンド部分を長く取ることで良好な空力性能も獲得していました。
しかし、NSXの最大の魅力はスペックではなく、スーパースポーツとしては常識破りな”扱いやすさ”でした。
世界の高級スポーツカーといえば、それまで圧倒的な性能やデザインと引き換えに、日常づかいは不便で困難なのが常識でした。
ところがNSXは、水平方向で311.8度を誇る広い視界や、パワートレインのマナーの良さ、長いテールエンドによって確保した広いトランクスペースなど、非常に実用的なパッケージングにまとめられていました。
極めつけは日本車基準の耐久性と仕上げ精度の高さ。NSXはスーパーカーでありながら、まるで大衆セダンのような感覚で日常使いができたのです。
発表時の新車価格は驚きの800万円。当然、当時の国産量産車で最も高価なモデルでしたが、日本人にしか作れないオリジナリティのある高級スポーツカーとして、バブル絶頂期には注文が殺到しました。
発売後も、NSXはモデル追加や地道な改良が続けられました。
1995年には、コックピット直上部分の屋根を取り外せる「タルガトップ」タイプのボディを持つ「タイプT」が登場。高い走行性能はそのままに、オープンエアーを楽しめるモデルとなっていました。
また、1997年にはMTモデルのエンジンを3.2リッターへと拡大。さらに、2001年には外観上の大きな特徴だった「リトラクタブルヘッドライト」を固定式に改めました。空力特性の最適化や軽量化を図るとともに、見た目の印象もガラリと変化しました。
そして2005年に生産を終了するまで、NSXは約15年間に渡り孤高の国産スーパーカーとして威光を放ち続けたのです。
さて、今回オークションに掛けられたのは、生産終了の前年となる2004年に製造されたアキュラNSX-Tです。
「アキュラ」とは、1980年代にホンダがアメリカで立ち上げた高級車用のブランド。アメリカでは、NSXはホンダブランドではなくアキュラから発売されました。
出品車両は走行距離8700マイル(約1万4000キロ)と低走行で、3.2リッターDOHCエンジンを搭載する、6速マニュアルミッション車となっています。また「NSX-T」はNSX Tタイプの輸出仕様のネーミングです。
特筆すべきは、非常に希少な「イモラオレンジパール」の純正ボディカラーです。
明るいオレンジメタリックに塗られたボディは、タルガトップも相まって、アメリカの開放的な雰囲気と最高にマッチしています。
インテリアも良好なコンディションです。
「オニキスレザー」を張られた純正パワーシートをはじめ、ダッシュボードやドアパネルは黒基調でシックにコーディネートされています。クルーズコントロール機能や「BOSE」のオーディオシステムも備えるほか、サイドシルにはシリアルナンバーの入ったスカッフプレートが貼られています。
さらに、この個体には新車時に発行された証明書類が付属しており、ラインオフの後ニュージャージー州ラムジーにあるアキュラのディーラーへ納品されたことが記載されています。
オークションは2025年1月3日未明に決着。落札価格は20万1000ドル(落札時レートで約3173万円)となり、落札者には多くの祝福のコメントが寄せられました。
初代NSXは、性能面で海外のスーパーカーに並び立つだけでなく、日本車ならではの扱いやすさと信頼性をプラスして独自のキャラクターを築きました。世界のスポーツカーの歴史を確実に前進させた一台として、今でも世界的な評価を受けています。
また今回出品されたアキュラNSX-Tは、仕様のレアさもさることながら、前オーナーの丁寧なメンテナンスぶりが分かる良質な個体でした。和製スーパーカーのマスターピースとして、これからも新しいオーナーの元で輝きを放ち続けることでしょう。
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