日産は2025年4月22日、新型「エルグランド」のデザインの一部を世界初公開しました。
　
　2025年度後半に公開し、2026年度の発売を予定しているといいますが、一体どのようなクルマになるのでしょうか。

　エルグランドは1997年5月に登場しました。登場当時、大型ミニバンといえば、商用1BOXをベースに乗用に仕立てたものが多く、動力性能や質感などに難がありました。

　いっぽうエルグランドは、メッキを用いた押し出しの強いデザインに豪華で広いインテリア、強大な出力を持つパワートレインを採用したことで大ヒットを記録。

　これをきっかけに、高級ミニバンという新たなジャンルが開拓されました。

　2002年5月登場の2代目では、発売翌日にトヨタから「アルファード」という刺客が登場するも、根強いエルグランドファンや、さらに存在感のあるデザインなどが引き続き人気を獲得。多彩な特別仕様車の設定や、エアロタイプ「ハイウェイスター」もその人気を維持させました。

　現行型は2010年8月に発売された3代目ですが、FF（前輪駆動）にレイアウトによる低重心プラットフォームの採用のほか、かなり低められた全高など、スポーティ路線へと舵を切ります。

　ところが、折からの最大のライバル車となっていたアルファードと、強い顔つきの兄弟車として登場した「ヴェルファイア」のコンビに市場を奪われる形となっており、特に発売15年が経過した今では、残念ながらかつての面影はありません。

　ミニバン市場も変化し、家族を乗せるものからかつての高級セダンが担っていた重役やゲストを送迎する「ショーファーカー」の役割も獲得するなど、エルグランドを取り巻く状況は、もはや2010年の発売時とは全く異なったものとなりました。

　非常に長いモデルライフを送ってきた3代目エルグランドは、いくつかの改良が実施されていたものの、先進機能「プロパイロット」や日産独自のハイブリッド「e-POWER」の設定もなく、パワートレインや内外装デザインもいささか古さを否めない状況です。

　日産の経営状況も鑑みると、すぐにでもエルグランドのモデルチェンジが求められていましたが、今回ようやく新型登場のアナウンスがなされた格好となりました。

　15年ぶりの刷新となる新型エルグランドは、通算4代目になります。

　エルグランドではこれまで設定のなかった日産独自のハイブリッド「e-POWER」の第3世代ユニットを採用。

　このユニットは新開発の1.5リッターエンジンにモーターやインバータなどの部品をモジュール化する「5-in-1」を採用しており、すでにアナウンスされている情報によると、現在のe-POWERの弱点となっていた高速燃費の向上に寄与するといいます。

　デザインはフロントとリアの一部のみしか確認できませんが、フロントは横一文字のシグネチャーライトに、鱗模様のように繊細な意匠を連続させたライトとグリルが採用されているようです。

　リアは大型のリアスポイラーを備えたほか、存在感のある横一文字のテールランプと「NISSAN」の文字ロゴを備え、エルグランドの名称にふさわしい威厳のあるものとなっています。

　ボディサイドは不明ですが、ティザー画像の明るさを加工するとシルエット程度は確認でき、現行型のようにAピラーからリアクオーターまで太いメッキモールが配され、サイドのスタイリングに華やかさを与えています。

　全体的なデザインは2023年10月に開催の「ジャパンモビリティショー2023」で披露された、大型ミニバンのコンセプトモデル「ニッサン ハイパーツアラー」にも共通性を感じるものです。

　これ以外の部分は現在一切不明ではあるものの、ハイパーツアラーがヒントになるのであれば、電動4輪制御「e-4ORCE」、高レベルな運転支援などが搭載される可能性も高いとみられ、さらには全固体電池の開発が完了すれば、フル電動のEVモデルがラインナップされることも十分に考えられます。

　2025年度後半の正式公開ということですが、2025年10月には「ジャパンモビリティショー2025」が開催予定で、次回は2年に1度のショーイヤーとなります。このタイミングで披露されるということも不思議ではありません。

　現在はアルファード／ヴェルファイアがシェアを独占している状態のなか、求められる仕上がりのハードルは非常に高いと想定されます。

　しかし、日産の起死回生の一手にもなりうる、強大なブランド力を持つエルグランドが、再び「キング・オブ・ミニバン」の称号を取り戻せるのか、ますます期待が高まります。