今回の新タイヤはいずれもウェット性能の向上を果たしていますが、これはユーザーからの要望を反映したものだと開発担当者が教えてくれました。

　ブリヂストン MCタイヤ開発部 設計第2ユニットリーダー 高橋淳一さんは言います。

「ツーリングに行くと決めたら、多少の降水確率があっても決行することが多いことが調査してわかりました。仕事や家庭の事情などがあって、日程変更は簡単ではないのが現実なのでしょうね。

　つまり、出掛けた先で雨に降られてしまうことをライダーの皆さんは想定済みなのです。そこで求められるのが、ウェット性能の高いタイヤ。安全、快適にツーリングを続けられることが重要ですからね」

　たしかに、急な予定変更はなかなかできません。ほとんど1日中レインウェアを着ていたというツーリングも心当たりがたくさんありますから、高橋さんの言葉には頷けます。

　今回の導入したタイヤは、軽やかにマシンが動き、車体を深く寝かし込んでも安心していられる。その理由は新採用のコンパウンド特性にもあることが高橋さんの説明でわかりました。

　路面への食い込みが良くなるよう「シリカ」と呼ばれるものを分子レベルで改良し、ゴムの柔軟性がアップしています。特に低温時（ウェット時）のグリップ力が向上していると教えてくれました。

　また、リヤタイヤに旋回時の安定性やドライグリップを確保する「3LC（タイヤ表面を3分割）＋CAP（上層部）＋BASE（下層部）」というコンパウンド（化合物）をセンターとショルダーとで分けた独自構造も、グリップ力とウェット性能の向上に貢献しているとのことで、ドライでのスポーティさ、そしてロングライフ（長持ち）にも「自信あり！」と高橋さんは言います。

　急な天候変化にも対応する「BATTLAX SPORT TOURING T31」と「BATTLAX ADVENTURE A41」。ツーリング派ライダーには見逃せないタイヤです。

【了】