では、EV価格は今後、下がっていくのでしょうか。

　AESCジャパンとしては、上級車ではNMC（3元型リチウムイオン電池）が主流となり、またエントリーモデルから中級車についてはLFP（リン酸鉄リチウムイオン電池）の需要が伸びるという市場の動向を予測します。

　また、LFP（リン酸鉄リチウムイオン電池）は比較的重量が大きいため、電池搭載量を増やすと航続距離への影響があるとの見解です。

　つまり、自動車メーカーそれぞれが、国や地域でのユーザーニーズに合わせて、搭載するリチウムイオン電池の種類や形状、そして搭載量をどう選ぶかによってEV価格が変わってくるということです。

　そして、次世代型電池のホープと言われているのが、全固体電池です。

　正極と負極の間にある電解質を、現在は主流である液体から固体に変えるという発想が基本にあるリチウムイオン電池のことです。

　自動車メーカーでは、トヨタ、ホンダ、そして日産が全固体電池を内製化する方向で研究開発を進めています。

　AESCジャパンでも研究開発を進めているところです。

　現時点では、全固体電池のコストは既存リチウムイオン電池よりかなり割高です。

　2030年代になると、自動車産業界全体で全固体電池の本格的な量産が始まるものと見られていますが、その場合でも、今回紹介したような各種電池が市場で併存することになるのではないでしょうか。

　いずれにしても、ユーザーの立場としては、EVの新車価格がもっと下がることはもちろんですが、それとあわせて電池の劣化状態に応じたリセールバリュー（中古車価格）が認識できる市場の仕組みができることを期待したいと思います。