中古車で見る「ASK」 なんで「大事な価格」隠すの? 「あなたの収入じゃ買えません」の意味ってホント!? 実は「本気度」と「買ってもらう人」を見分ける“戦略”だった

中古車でたまに見かける「ASK」価格表示。一体何なのでしょうか。

中古車の「ASK」 なんで隠すの? 買っていいの?

 中古車検索サイトをチェックしていると、ときどき目にする「ASK」の3文字。
 
 日本語でいうところの「価格応談」なのですが、実際にはどのような意味が込められているのでしょうか。中古車販売店に聞いてみました。

中古車の「ASK」表示 意味は?[画像:PIXTA/イメージです]
中古車の「ASK」表示 意味は?[画像:PIXTA/イメージです]

 一般的に「ASK(または価格応談)」で販売されているクルマは、旧車やネオクラシックカー、あるいは“争奪戦”が繰り広げてられているような最新モデルなど、希少価値が高いモデルばかりです。

 ただし、中古車検索サイトで気になるクルマを見つけても、表示価格が「ASK」では予算内なのかまったく分かりません。

 SNSなどでは、この不思議なASKについて、「A=あなたの」、「S=収入じゃ」、「K=買えません」なんて、冗談めいて笑う人もいます。

 どうしても知りたい場合、電話やメールなどで直接販売店に問い合わせてみなければ販売価格が分からないのです。

 ユーザーの心理としては「実際はいくらなのか」が気になるばかり。ちょっとした“スケベ心”も含めて少なからず気になることがあります。

 中古車販売店が自社の商品車に「ASK」を掲げている理由について、首都圏で希少車をメインに扱っているA店のスタッフの方によると、このように話してくれます。

「ウチでは“本気度”を見極めるためにASKにしていますね。こういってはなんですが、冷やかしの方を極力減らしたいのが本音です。

 お電話やメールなどのお問い合わせをいただいた時点で、ある程度は本気度が分かります(もちろんこの予想が外れることもあります)。

 店舗側があまり売る気がない気配を出したとしても、本気で買われるお客様はグイグイ押してきますし(苦笑)。

 また、ASKを提示するクルマって相場があってないようものであったり、基本的には強気で売れるケースがほとんどです。

 売る側としては1円でも高く売りたいのが本音なので、言い値でも買ってくださるお客様に販売したいためにASKにしている事情もありますね」

 やはり、ASKになっているクルマの傾向が示すとおり、非常に珍しいクルマがほとんど。

 そうすると、問い合わせをしてくる客も、「ヤバい!何年もずーっと血眼で探してたクルマだ!」という“本気”の人か、「珍しい。気になるな」程度の興味本位の人や、「俺昔あこがれてたんだよなー。懐かしくて問い合わせしちゃいました(笑)」のような、“語りたい人”の3タイプに分かれます。

 しかし販売店にとっては、「珍しいクルマ=売れるかどうかも未知数」になるので、極力は“本気の人”に狙って営業をしたいわけなのです。

 また、別の希少車販売店B店では以下のようなコメントをいただきました。

「ひとつ言えるのは、『売り急いでいない』という事情があります。例えば、ホンダ『NSX-R』の中古車をウチが抱えているとしますよね。すると『こんなレアなクルマを在庫として抱えている中古車販売店』だとアピールできるわけです。

 ホームページやYouTubeなどの動画で紹介したり、当店のイメージキャラクターとして活躍してもらえるわけです。

 しかし、お客様に売ってしまったら別のクルマを探さなくてはなりませんし、現在の高騰ぶりを考えるとそれはそれで辛いわけです」

 中古車を探すとき、もちろんその個体を目当てにするわけですが、ディーラー系の認定中古車でない限りは、どんな店が売っているのか気になるところです。

 そこで、その店の在庫を見たところ、ものすごい希少車が置いてある。そんな状況だったら、「もしかしてこの店と付き合っておくと、なんかいいことあるかも」と思えるわけです。

「あと、数ある商品車のなかでも特別な存在であることが多く、『この人になら乗ってもらいたい』と思えるような方にお譲りしたいという事情もあります。

 すぐに転売したり、ロクに乗らずに放置されてボロボロになってしまっては、我々だって愛着があるクルマであることが多いだけに、非常に辛いのです。

 ASKの意味合いには、価格だけでなく『販売する側がお客様を選べるクルマであること』であることも多いです。中古車販売店ごとにさまざまな思惑や事情が込められている(秘められている)と思っていただいていいと思います」(B店スタッフ)

 いつか手に入れようと思い、探し続けてきたクルマをようやく見つけたと思ったら「ASK」だった。

 しかし、「門前払い」されるかもしれないから問い合わせできないなんて思うなかれ。

 もしかすると、「お客様のような方に乗ってもらいたかったんです…」と言ってもらえる可能性だってあります。

 黙って見過ごせば確率は0%ですが、問い合わせてみることで手に入れられる確率が上がります。

 あとはタイミングと縁を信じて「ASKの壁」にアタックしてみましょう。

【画像】超カッコイイ! これが今後「ASKになりそうなクルマ」です! 画像でみる(55枚)

【2025年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿や、URLを記載した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー