違法なクルマに付いてる「天ぷらナンバー」って一体なに? 美味しい日本料理の“天ぷら”が「偽物ナンバー」を意味する理由とは?
「天ぷら」は、野菜や魚介類に衣をつけて揚げた日本料理ですが、自動車業界では車台番号とリンクしていないナンバープレートのことを「天ぷらナンバー」と呼びます。なぜ天ぷらという言葉が用いられるのでしょうか。
「天ぷらナンバー」ってどんなもの?
クルマの「ナンバープレート」は車両の情報を識別するもので、前後に取り付けられていなければ公道を走行することができません。
車台番号と紐づけられたナンバープレートが取り付けられているはずですが、盗難したクルマのナンバープレートを別のものに交換し、発見を遅らせるという手法もあるようです。
そして、本来のものとは異なる偽物のナンバープレートのことを「天ぷらナンバー」と呼ぶことがありますが、なぜ“天ぷら”というワードが使われるのでしょうか。
この天ぷらとは、日本料理のある天ぷらに由来しており、野菜や魚介類などに小麦粉をベースとした衣を付けて油で揚げた料理です。
衣がない揚げ物は「素揚げ」などと呼ばれますが、天ぷらは衣をまとっていることが特徴となっており、つまりそれは「衣によって中身が隠されている揚げ物」であるといえます。
この天ぷら特徴が転じて、「本来の姿を隠す」や「本来の姿よりもよく見せる」といった意味を持つようになり、その後「偽物」の隠喩として用いられるようになったようです。
現在のようなクルマのナンバープレート制度が確立したのは1964年(昭和39年)のことですが、それより前の明治時代でも、偽造品を天ぷらと表現していたとされています。
たとえば、明治時代にはメッキ加工を施した製品のことを「天ぷら」と呼んだといわれているほか、戦後は、実際にはその大学の学生ではない人間が、その大学の学生になりすまして受講することを「天ぷら学生」と呼んでいたようです。
このような背景があり、実際にはそのクルマのものではない偽物のナンバープレートのことを、「正体を隠している」「ほかのクルマになりすましている」という意味で天ぷらナンバーと呼ぶというわけです。
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ナンバープレートは、車台番号と紐付けることでそのクルマの所有者を同定することができる仕組みです。
そのため、車検証を確認し、ナンバープレートと車台番号が紐付いていないことが明らかになれば、そのクルマは盗難車などの犯罪行為に関わっている可能性が高いと考えることができます。
そして、天ぷらナンバーを使用して走行することは重大な違法行為となり、道路運送車両法第98条第1項にあるナンバープレートの偽装や変造の禁止、および同第3項にある当該車両以外への使用の禁止に該当します。
前者の場合は3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、後者の場合は50万円以下の罰金が科されます。
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