トヨタが欧州で展開する小型商用バン「プロエースシティ」とは、いったいどのようなクルマなのでしょうか。日本市場への導入はあるのでしょうか。

　プロエースシティは、2019年より欧州で販売を開始しました。

　後席両側のスライドドアを備えた実用的なスタイルで、貨物用途から多人数乗車まで対応する様々なラインナップを用意しています。

　乗用の2列シートワゴンおよび3列シートミニバンの車名は「プロエースシティ ヴァーソ」とし、内外装などの差別化が図られています。

　パワートレインは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどに加え、2021年にはBEV（バッテリーEV：電気自動車）の「プロエースシティ Electric（エレクトリック）」も設定しました。

　なおプロエースシティはトヨタのオリジナルではなく、欧州でトヨタと提携を結ぶステランティスグループからOEM供給を受けたモデルという成り立ちです。

　日本でも販売されるハイトワゴン・ミニバンのプジョー「リフター」／シトロエン「ベルランゴ」などとは兄弟車にあたります。

　2023年11月にはマイナーチェンジモデルが発表され、2024年春より欧州各地で順次発売を開始しています。

　新型はトヨタのデザインアイデンティティに沿ったすっきりしたフロントマスクを備え、グレードによりフルLEDヘッドライト、アルミホイールなども設定します。

　ボディサイズは、ショートホイールベース版（L1）が全長4403mm×全幅1848mm×全高1796-1825mm、ホイールベース2785mm。

　ロングホイールベース版（L2）が全長4753mm×全幅1848mm×全高1812-1820mm、ホイールベース2975mmです。

　プロエースシティ ヴァーソの3列シート版は、このL2がベースとなります。

　スクエアなフォルムや高い全高のおかげで、コンパクトサイズながら広い室内および荷室空間を確保しています。

　マイナーチェンジでは、室内もステアリングホイールデザインを一新しました。

　フルデジタルディスプレイや統合ナビゲーションを備えた最新のインフォテインメントシステム、ワイヤレスによるApple CarPlay／Android Auto接続など、最新の車載機能が搭載し、コネクティッド機能も全車種に搭載可能です。

　また最新世代のBEVモデルはバッテリーなどのアップデートを図り、これまでのモデルよりも50km増となるクラストップの航続距離330km（メーカー公称値）に向上しました。

　欧州での販売価格は、2万4710.35ユーロ（約403万円）から。乗用仕様のプロエースシティ ヴァーソは、2万4835ユーロ（約405万円）から設定されます。

　前述の通り、リフター／ベルランゴといった兄弟車がすでに国内導入されており、トヨタがさらに日本へプロエースシティを輸入する可能性は低いというのが正直なところ。

　しかしプロエースシティ Electricは国内にはない商用EVであり、補完するモデルとして重宝しそうです。

　また欧州では、プロエースシティ ヴァーソ純正のキャンパー仕様が設定されており、車中泊需要が高まる日本に試験的に導入してみるのもありでしょう。

　国内では「ハイエース」や「タウンエース」など、いずれもロングセラーモデルが多いトヨタの国内商用車ラインナップにおいて、プロエースシティは新たな風を吹かせるモデルとなるかもしれません。