“実質130万円”で日産「最新軽ワゴン」買える!? ラグジュアリーな軽がバク売れ、なぜ? サクラはどんな人が買ってるのか

条件次第では130万円で買える“カラクリ”がスゴい!

 サクラXが1回の充電で走行できる距離はWLTCモードで180kmに留まりますが、車両重量も1070kgと電気自動車のなかでは軽く、1km走行当たりの電力消費量は124Whです。

 一方、日産「アリア」はSUVスタイルの電気自動車で、「B6・2WD」は、1回の充電でサクラの2.6倍に相当する470kmを走行できます。

 その代わり車両重量も1920kgとサクラの1.8倍重く、1km走行当たりの電力消費量もサクラの1.3倍に相当する166Whに増えます。

 つまりサクラは、アリアB6に比べるとボディがコンパクトで運転もしやすく、電気代も25%節約できます。

 特にサクラは走行速度の低い領域で電力消費量が抑えられ、WLTCモードの市街地モードは1km走行当たり100Whです。アリアB6の市街地モードは159Whですから、街中を中心にした使い方ならサクラは電気代を37%節約できます。

日産の軽EV「サクラ」
日産の軽EV「サクラ」

 そしてサクラが販売面で決定的に有利な要素は価格でしょう。

 サクラXの車両価格は259万9300円で、国から交付される補助金額は55万円です。

 補助金額は車両価格の21%に達して、車両価格から補助金額を差し引いた実質価格は約205万円となります。

 一方、アリアB6は車両価格が659万100円で、国の補助金額は85万円です。補助金額は車両価格の13%で、車両価格から補助金額を差し引いた実質価格は約574万円になります。

 このようにサクラは、価格が安いだけでなく、価格に対する補助金の割合が大きいという特徴があり、そのため実質価格が205万円に下がり、ガソリン車で同等のサイズを持つ軽ハイトワゴンである日産「デイズ」の最上級グレードと同程度の価格で手に入ります。

 さらに自治体によっては、国とは別に補助金を交付しています。

 例えば東京都の場合、2024年度には、電気自動車は給電機能付きの場合で通常額が45万円、日産はメーカー別上乗せ補助額の10万円も加わって55万円を交付しています。この補助金額は、サクラでもアリアでも同額です。

 東京都に住んでいる人がサクラを買うと、国の補助金額と合計して110万円が交付されます。

 そうなるとサクラXであれば、車両価格から補助金額を差し引いた実質価格が150万円に収まり、デイズのベーシックグレードと同程度の出費で手に入ります。

※ ※ ※

 補助金の原資は税金で、電気自動車は前述のように誰でも買える商品ではありません。

 そこに国だけでなく自治体も含めて多額の補助金が投入される状況は賛否両論でしょう。公平性を考えると、少なくとも国と自治体の連携は図るべきでしょう。

 259万9300円のサクラXに、国と東京都を合計すると110万円(東京都千代田区ならさらに20万円が加わって合計130万円!)の補助金が交付されるのは、過剰といえます。

 この課題も含めて、サクラには、販売面で有利な要素が数多く集まっています。その結果、乗用電気自動車の40%近くを占める主力車種になったのです。

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日産の新型軽EV「サクラ」

Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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