トヨタが「超スゴいハイエース」実車公開! ホワイト&ブルーボディに「画期的システム」搭載!? 「H2×HEV」仕様とは
いざ水素エンジン+THSIIのグローバルハイエースに乗ってみると?
続いて、水素エンジン+THSIIのグローバルハイエースに乗り換えます。
外観は水素エンジン車に対しての違いはステッカーのみですが、運転席に座わるとシフトは電子シフト化、メーターはフル液晶化されていました。
同じようにアクセルを踏み込んで発進させると、あの「ヨッコラショ」はなく「スッ」とクルマが動き始めます。
つまり、水素エンジンの過給が立ち上げるまでの間をモーターアシストでカバーし、全域で段付きの無いスムーズな加速を実現しています。
これはアクセル全開時よりも、最も使うである過渡領域のほうが効果てきめんだと感じました。
THSII搭載の乗用車で感じるような電動車感よりもスバルのe-BOXERのスポーツモードのような電動ターボ車的な印象に近いかなと。
ただ今回搭載のマルチステージハイブリッドは乗用車ではリズミカルな変速が魅力ですが、商用はそれよりもシームレスな加速のほうが合っていると思うので、むしろ通常のTHSIIのほうが相性はいいのではないかと感じたのも事実です。
ちなみに官能面では水素エンジン単体よりも高回転域は少々苦しそうな印象がある一方で、加速時などに粒が揃っていないようなザラつき感は薄れており、V6ならではの滑かさが際立ったように感じました。
ちなみにモーター出力は132kWですが、THSIIのシステム出力は単純にそのまま上乗せではなく、実際は約30kWアシストとの事。
それ以上のパフォーマンスを求めるならバッテリー出力をより高める必要がありますが、商用で考えれば十分以上のパフォーマンスを備えていると言えるでしょう。
こちらも最後列のシートに同乗してみましたが、同じように走らせても前後方向の揺れが抑えれているのが一目瞭然。段付きの無い加速はドライバビリティだけなく、乗員や荷物にも大きく影響することを改めて実感。
モーターアシストによる燃費向上は言うまでもありませんが、筆者はそれに加えてドラビリ向上で無駄にアクセルを踏ませない走りになる事で、実用燃費は更に上がるのではないかと予想しています。
ちなみに現状は「とりあえずできあがった状態」であり、ハイブリッドの強みとなる回生協調ブレーキの制御も組み込まれていない状態でしたが、そのポテンシャルは想像以上の完成度だったと言えます。
もちろん、現状の250kmの航続距離で十分かと問われると、素直にYESとは言えませんが、トヨタが長年培ってきたハイブリッド技術を組み合わせることで水素エンジンの可能性をよりアシスト、実用化に向けた階段を登った事は間違いないと思っています。
ちなみに筆者は同じ水素を燃料とするFCEVを搭載したグローバルハイエースにも試乗したこともあります。
日常走行はモーター駆動ならではのスムーズな加速と効率の良さは水素エンジン+ハイブリッドよりも高いと感じましたが、高速走行となると内燃機関の強みは出てきます。
もちろん、トヨタは「水素エンジンの乗用車を出したい」と言う想いはありますが、やはりメインストリームは大型トラックでしょう。水素タンクを搭載するスペースは乗用車より豊富なので、航続距離問題も解決しやすいですので。
ちなみに2025年年春にオーストラリアでの実証実験をスタート。実際の使い勝手や問題点を確認しながらも、フィードバックを開発に活用するそうです。
筆者は小型車に適するガソリンエンジンと大型車に適するディーゼルエンジンと同じように、水素も適材適所で使えるシステムが必要だと考えていますが、今回の水素エンジン+ハイブリッドも「選択肢の一つ」と言うわけです。
当然、まだまだ課題はたくさんあると思いますが、今回のトライは大きなステップアップになる事は間違いないでしょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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