2024年11月1日にホンダと旭化成は、合弁会社化のための株主間契約を締結したことを発表しました。

　今回の締結に先立って、両社は2024年4月25日に発表した基本合意に基づき、カナダにおけるリチウムイオン電池用セパレータ生産に関する協業に向けて具体的な協議を進めてきました。

　具体的には、カナダにおける車載バッテリー用セパレーター生産に関する協業となります。

　そもそもセパレーターは、リチウムイオンを透過させる機能を持ち、正極材と負極材の接触を遮断しショートを防ぐ役割を果たす多孔質膜で、リチウムイオンバッテリーの重要な部材です。

　両社は、中長期的な成長が見込まれる北米の電動車市場向けに、高性能なバッテリーを安定的に供給するサプライチェーンの確立が重要であるとの共通認識に基づいて合意に至っていました。

　そうしたなかで前述のとおり、今回合弁会社化のための株主間契約を締結しました。

　両社は、旭化成のカナダ現地法人の100％子会社として設立された「E-Materials Canada Corporation」が発行する新株を、ホンダのカナダ現地法人である「Honda Canada Inc.」が第三者割当増資で引き受けることで25%の出資を行い、新たに「Asahi Kasei Honda Battery Separator Corporation（仮称）」として合弁会社化する予定です。

　なおホンダは、本合弁会社への出資とその他の資金をあわせて約4億1700万カナダドルを拠出するとしています。

　今回の合弁会社化により、付加価値の高い素材技術や電動化技術といった互いの強みを持ち合うことになります。

　それにより、高品質なセパレータをリチウムイオン電池に活用し、高性能な電動車の実現に向けた取り組みを加速させていく狙いです。

　なお、旭化成バッテリーセパレータの谷口龍代表取締役社長は次のように コメントしています。

「旭化成は、経営の意思決定の迅速化を目的に、10月1日付でリチウムイオン電池の重要部材の1つであるセパレータ（ハイポア）事業を分社化し、旭化成バッテリーセパレータ株式会社を設立しました。

　当社が培ってきたハイポアの技術や経験、築いてきたグローバルネットワーク、集積された多様な人財は、これからの蓄エネルギー・電池の革新に寄与し続けていけると確信しています。

　ホンダは2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進しており、同社が50年以上にわたる事業経験を持つカナダでは、包括的なEVバリューチェーン構築を進めています。

　今回のパートナーシップを通して、北米におけるセパレータの安定的な供給体制を確立するとともに、バッテリーの性能や耐久性の向上に貢献していくことで、EVによるエネルギー転換の推進、サステナブルな社会の実現の一翼を担っていきたいと考えています」

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　なお両社による合弁会社は、関係当局の許認可の取得等を条件に、2025年初頭の設立および事業開始を予定しています。